【2024年ベストバイ】サカナクション 山口一郎が今年買って良かったモノ
今年の買い物を振り返って
F:たくさん良いものを紹介していただきましたが、今年の買い物を振り返ってみていかがですか? 山口:自分がうつ病だとわかった2年前は、好きなものから心が離れていって、音楽もファッションについても考えることすら辛かったんです。でも少しずつ戻ってきたので、反動でたくさん買ってしまっているのかも。ただ、なんでもかんでも買ってみるのは違うなと思っていたので、「10年後も好きなもの」というテーマが軸になりました。ずっと大切にしていきたいなと思うものばかりです。だからもう、来年は買わないかな(笑)。 F:そんなことはないと思います(笑)。ただ、特にハイブランドなど物価がかなり上がっていますし、本当に良いものを皆が求めている時代ですね。 山口:僕は食わず嫌いのところもあったので、先入観を取り払って触れてみたり、新しいものにチャレンジしてみるという年でした。川久保さん(コム デ ギャルソン 川久保玲)はファッションは勇気だとおっしゃっていますが、本当にそうだなと思います。 F:昨年の「元に戻るのではなく、新しくなる」というお話に続いていますね。ポールハーデンは、まさに新しい定番ですし。 山口:自分の中で「何が新しい自分なのか」ということが少しずつわかってきた気がしています。新しい自分が、少しずつ構築されていくというか。生活においても、音楽においても。 F:サカナクションの完全復活ツアーをやり切ったことは、やはり大きかったのではないでしょうか。 山口:実際に僕自身、本当に実現できるのか不安でした。2年間お休みしていたので、忘れられているんじゃないかと怖かった。でも一人ではないというか、メンバーやチームがいて、乗りこなしながら作り上げて、ステージに立てたことは嬉しかったですね。こんなにたくさんの人が待っていてくれたんだって。やっぱりライブはミュージシャンとして栄養のようなもの。自分が音楽になれる瞬間でもあるので、それはもう格別でした。 F:その再起の裏側も、Youtubeライブで話したり、ドキュメンタリー番組で見せていましたね。今現在も、音楽制作の真っ最中とのこと。 山口:体調は完全に治ったわけではないので、良くなったり悪くなったり。七転八倒していますが、ここから生まれる音楽はある種、実験的なものになるかもしれません。嘘偽りなくさらけ出すことで、それに対して離れる人もいるかもしれないし、共感してくれる人もいると思う。ドキュメントしながら音楽を伝えていくことも、自分の中で大きな変化かなと思っています。 F:来年はサカナクションの新たなツアー(「SAKANAQUARIUM 2025 “怪獣”」)も控えています。 山口:次のホールツアーはストイックな感じになると思うので、どんな反応があるか、僕自身も今から楽しみにしています。 photography: Masahiro Muramatsu ■山口一郎 1980年北海道生まれ。5人組バンド「サカナクション」として2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。ほとんどの楽曲の作詞作曲を手掛ける。2015年に「NF」をスタートさせ、カルチャーをミックスした多様なプロジェクトを展開。コロナ禍の2020年から2021年にかけて画期的なオンラインライブを実現し、同年10月に新プロジェクト「アダプト/アプライ」を発表。全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM アダプト TOUR」を開催した。2023年に単独で全国を巡るツアー「懐かしい月は新しい月"蜃気楼"」、そして2024年には2年の時を経てサカナクション完全復活ツアー「SAKANAQUARIUM 2024 "turn"」を開催。2025年3月26日にライブ映像作品としてのリリースも決定。放映中のTVアニメ「チ。 ―地球の運動について―」の主題歌を担当。2025年1月から全国17会場34公演の全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2025 “怪獣”」の開催が予定されている。 サカナクション公式サイト 全国ホールツアー「SAKANAQUARIUM 2025 “怪獣”」