夢はろう者として仮面ライダーに出ることーーろうの俳優が聴者と切り開く新しい世界
山口さんは、自分の姿を見て俳優を志す若いろう者が増えることを願っている。しかし今はまだその前の段階だ。 「ろう者には演劇を見にいこうという人がそもそも少ないんです。最近は、どうやったら見にいけるのかとか、どうやってチケットを買ったらいいのかと相談されることが増えてきました。とてもうれしいことです」 当面は関西を拠点に活動を続けていくつもりだ。「子ども向けの作品にも出てみたい。例えば、仮面ライダーやスーパー戦隊にろう者として出演できたらいいなと考えたりすることがあります」。夢への一歩を踏み出すために、今日も稽古場へ向かう。 山口文子(やまぐち・ふみこ) 1982年生まれ、大阪府出身。2015年に福岡のNPOで俳優で演出家の倉品淳子さん(劇団山の手事情社)のワークショップを受けたことをきっかけに俳優の道へ。2021年に舞台『華指1832』に出演。同作の作・演出を務めたピンク地底人3号さんと手話裁判劇『テロ』(10月上演予定)に取り組む ピンク地底人3号(ぴんくちていじんさんごう) 1982年生まれ、京都府出身。2006年より「ピンク地底人」の活動を開始、作・演出を担当。2015年に「ももちの世界」を結成。主な作品に『鎖骨に天使が眠っている』(2018年)、『華指1832』(2021年)など。10月に神戸アートビレッジセンターで手話裁判劇『テロ』を上演予定