NHK党・立花孝志氏にSNSでは絶対に勝てない…大阪・泉大津市長選で現役市長の陣営がとった"立花対策の中身"
12月15日、大阪府の泉大津市で行われた市長選で、現職の南出賢一市長とNHKから国民を守る党の党首である立花孝志氏が出馬し、南出市長が2万1700票を得票し当選した。ノンフィクションライターの石戸諭さんは「立花氏は南出市長に1万6000票の差をつけられ惨敗した。南出陣営も立花氏の“空中戦”を警戒していたが、立花氏が兵庫県知事選ほど活躍できなかったのには3つの理由があると考えられる」という――。 【写真】マスコミは立花孝志氏の“養分”になっている… ■圧倒的な知名度があったのに惨敗 反ワクチン的な言動を繰り返す現職 VS 反メディアポピュリスト――前代未聞の一騎打ちとなった泉大津市長選は、NHK党・立花孝志氏の大惨敗で幕を閉じた。 大阪市の繁華街、難波から南海電鉄で約20分、国産毛布の一大生産地である人口7万人ほどの小さな街に連日、著名ユーチューバーや報道陣も駆けつけカメラを回して選挙戦の行方を見守っていた。 投票率は前回市長選に比べて、7ポイントほど上昇し44.07%だったものの、立花氏の得票数はわずか4439票で、2万1700票を得票して3回目の当選を果たした現職・南出賢一市長に約1万7000票も及ばない。前回立候補した共産党推薦の畠田博司氏が得票した7410票にも達していないのだ。 投票者の数は増えたことは、むしろ現職への強力な追い風になったという事実を示している。 立花氏にしてみれば、現職を打ち破るには投票に行かない層をターゲットに新しい票を掘り起こさなければいけない。その意味では一定の成果はあったにもかかわらず、票は完全に流れた。しかも、知名度はかなり高く、選挙戦終盤には現職の支持者からも「立花さんになってもおもろくなる」という言葉が聞こえてきたにもかかわらず、である。 いったいなぜ? その理由の一端は現職陣営が仕掛けたトリックスター対策にあった、というのがさしあたり私の仮説だ。ポイントを大きく3点に整理しよう。