「全社横断で品質マネジメント体制を構築」日野自動車会見8月2日(全文4)
オフロードエンジンにも主に劣化耐久試験に関する不正行為が判明
オフロードエンジンにつきましてはオンロードエンジンと同様に、主に劣化耐久試験に関する不正行為が判明しております。さらに2016年、他社の事案をきっかけに国土交通省における排出ガスや燃費に関する認証試験の実態調査が行われました。その際に根拠のないデータを基に、不適切な行為はなかったと虚偽の報告をしたことも分かっております。襟を正す機会であったにもかかわらず、不正を重ねてしまったことは大変重大で深刻な問題であると受け止めております。ステークホルダーの皆さまの長年にわたる信頼を今回裏切ることとなり、誠に申し訳ございませんでした。 こうした不正行為が判明した機種において、排出ガスの規制値超過の可能性や燃費の諸元値の返りといった性能の問題も判明いたしました。資料の10ページから11ページに不正の有無と性能問題の有無を機種別にまとめております。3月4日に公表した分も含めますと、現行機種ではオンロードエンジンで4機種、オフロードエンジンで3機種が性能に問題があったということになります。規制値超過の可能性がある機種は出荷停止をしており、今後、可及的速やかにリコール検討を実施してまいります。オフロードエンジンにつきましては建機メーカーさまにご協力をいただき、当社が責任を持って対応を進めてまいります。 また、性能に問題は見つかっていないものの、認証プロセスにおいて不正行為があったと判明している機種についても国土交通省にご報告をし、出荷停止の指示をいただきました。今後は省の指示に従ってまいります。
品質やコンプライアンス、人材育成が後回しに
本日、委員会からいただいた報告書に関する当社としての受け止めを申し上げたいと思います。委員会には不正の全容解明に加えて、真因の分析とそれに基づく再発防止の提言をお願いしておりました。このたびいただいた指摘、内容は非常に厳しいもので、大変重く受け止めている次第でございます。2000年ごろから規模や量の拡大を重視し、仕向け地や車種の拡大を推し進めた結果、現場に余力がなくなり、品質やコンプライアンス、人材育成といったものが後回しになってしまいました。その結果、法令順守を大前提に適正なプロセスにのっとって仕事をすることよりも、製品開発までのスケジュールや燃費などの数値目標が優先されやすい環境や仕組みとなってしまっておりました。また、縦割りで上下や左右の風通しが悪く、過去の成功体験に固執するがあまりに外部環境や世の中の価値観の変化に向き合えず、前例踏襲をよしとする風土、これらによって1人1人が当事者意識と一体感を持って仕事に取り組むことができない状況になってしまっていたと考えております。 不正行為がある特定の部署で起こったことは事実でございますが、この部署を不正に追い込んでしまった背景にあるのは、こうした全社的な問題であると認識しております。経営としての責任は大変重く、この報告書をしっかり読み込み、責任の所在を明らかにした上で厳正に対処してまいります。そしてこのことを二度と繰り返さないために深く反省し、自分をはじめとする経営層がまずはこの事実をしっかりと受け止め、向き合わなければならないと思います。 この非常に深刻で根が深い問題に対し、生まれ変わらなければいけないという覚悟と決意を示し、行動に移す。そして、その覚悟と決意を従業員全員と共有し、日野の1人1人のメンバーが今回の問題を自分ごととして捉え、考える。その結果、思考と行動が変わっていくと考えております。これらが再生への第一歩と考えております。 一方で、これまでに判明した問題に対しましては、その都度、再発防止策を策定して、実施してまいりました。7ページ目に一覧表を参考資料として添付しております。今回発覚した不正行為を明確に禁じるような規定やマニュアルの整備、開発認証プロセスの正しさを確保するための牽制機能の強化、風土改革においては従業員の意識改革のために企業理念を改定いたしました。未来に継承すべき価値観として、誠実、貢献、共感を掲げ、コンプライアンスファーストの姿勢を明確化してまいります。