帰ってきた軽二輪レトロ! カワサキ新型「W230」「メグロS1」試乗インプレ
軽量コンパクトで扱いやすく、驚くほど小回りもしやすい
車体も、エンジンに呼応するように気持ちのいいものだった。 ライディングポジションはエストレヤも参考にしたといい、とにかくシート高が低く取っつきやすい。身長183cmの筆者にはシート/ステップ間がちょっと狭いようにも思えたが、多くの初心者や小柄な方にとって扱いやすそうだ。ただ、シートクッションはやや硬めに感じたので、体格に余裕のある方であればシートのカスタムを視野に入れてもいいかもしれない。もしくは純正でハイシートをラインナップしてくれるよう要望したいところだ。 ──シート高はW230が745mm、メグロS1が740mmとなっているが、これは表皮の違いによるもの。スペック表は5mm刻みなので5mm差表記になっているが、実際の差は3mm程度だという。表皮の違いにより、わずかながら座り心地がソフトなのはW230で、メグロS1はやや硬質だ。座面は広く体重を預けやすい。シート~ステップ間は体格の大きい方だとやや狭く感じるかも。足着き性は抜群。ハンドル位置はライダーに近く安心感があり、絞り角なども適切でリラックスできる。ニーグリップ部はメグロS1のほうがラバー貼付の分わずかに膨らみを感じるが、下半身をホールドしやすいのはこちらのほうだ。【身長183cm/体重81kg】 ハンドルバーの位置も自然で扱いやすい。燃料タンクはW230がツルっとした仕上がりで、メグロS1のみニーグリップラバーが貼付されている。下半身の安定性やホールドのしやすさではメグロS1に軍配を上げたい。操縦性に関わる部分では、ここが唯一と言っていい2車の違いになる。 また、乗り心地という点ではリヤホイールトラベルが95mmとやや短め(フロントは117mm)で、筆者の体重(81kg)だと大きめの道路の凹凸を乗り越えた際に少し衝撃がダイレクトに伝わってくる感じがあった。もしオーナーになった後に気になるようだったら、リヤサスペンションまたはシートのカスタムを検討してみるといいかもしれない。 さて、コーナーなどでの操縦性の前にお伝えしたいのは、異常なほどの小回りのしやすさである。 前述のように極めてストールしにくいエンジンのおかげで安心感があり、さらに軽二輪のネオクラシックモデルとしては足まわりの減衰力がしっかりしていて接地感の抜けがなく、前後タイヤのフィーリングを感じ取りやすいことが功を奏している。最初から躊躇なく小さく曲がることができ、ちょっと慣れればステアリングフルロックのUターンも難しくない。これは最終仕様のエストレヤより18kgも軽い143kgという車重の恩恵もあるだろう。また、エストレヤ比ではフレーム剛性も下げたことが扱いやすさと軽量化に貢献したという。 街中では全く気負うことなくカーブや交差点をこなすことができ、気持ちのいいクルージングや加減速を堪能できたのだった。