生産能力2.8倍、年1.1万トン…三菱ケミカルが「LiB負極材」増産
三菱ケミカルグループは電気自動車(EV)を中心とした車載用途のリチウムイオン電池(LiB)向け負極材の生産体制を増強する。香川県内の工場で、負極材の生産能力を従来比2・8倍の年間1万1000トンに引き上げる。2026年10月に稼働を予定。投資額は非開示だが、約206億円とみられる。そのうち最大約69億円は、経済安全保障に関わる経済産業省からの補助金を充てる予定。 【一覧表】総合化学5社の業績詳細 三菱ケミカル香川事業所(香川県坂出市)で、負極材の生産体制を強化する。負極材はLiBを構成する主な材料の一つであり、原料には天然系と人造系の黒鉛の2種類がある。三菱ケミカルグループは製造工程における温室効果ガス(GHG)の排出量が少なく、ライフサイクルアセスメントの観点で優位性が高い天然系黒鉛を原料とした負極材に強みを持つ。 さらに独自技術によって、天然系黒鉛の課題となっていた電池寿命に影響する膨張を抑えるとともに、人造系黒鉛の性能を上回るグレードを開発した。負極材に関しては、中国でも年間1万2000トンの生産能力を持つ。