岸田首相が会見 臨時国会が閉幕(全文1)コロナ飲み薬を年内から医療現場に
国が率先して公的価格の引き上げを
新しい資本主義の大きな特徴は、分配を成長への道筋としてど真ん中に位置付けるということです。分配を行うことで成長を支える新たな需要を創出し、次の成長につなげます。分配政策の重要な柱の1つは企業による賃上げです。あらゆる手段を講じて、企業が賃上げをしようと思える雰囲気を醸成することが重要です。そのためにも国が率先して公的価格の引き上げを行います。介護、保育、幼児教育などの現場で働く方の給与を来年2月から恒久的に3%引き上げます。看護は来年2月から1%、10月から恒久的に3%引き上げます。加えて、中小企業が賃上げをした場合に、その分を適切に価格転嫁できるよう私から産業界に広く協力を要請するとともに、そのための施策パッケージを12月27日に取りまとめます。来年1月から3月を集中取り組み期間とし、政府を挙げて取り組みます。 公正取引委員会と中小企業庁が事業所管官庁と連携し、問題となる事例を幅広く把握するための仕組みをつくってまいります。問題が多い業界に対しては立ち入り調査や要請を行い、価格転嫁を行いやすくしてまいります。多くの中小企業が直面する急速な原材料費とエネルギーコストの上昇についても、同様に価格転嫁対策を進めてまいります。賃上げを通じた分配はコストではなく、未来への投資です。きちんと賃金を支払うことは、企業の持続的な価値創造の基盤になります。この点を企業の株主にも理解してもらうことが必要です。人の価値を企業開示の中で可視化するため、来年度、非財務情報の見える化のルールを策定いたします。
デジタルインフラは来年3月までに整備計画示す
デジタル田園都市国家構想についての議論もどんどん進んでいます。デジタル臨調において行政が順守すべきデジタル原則を策定し、その原則に合うように、4万件の法律、政省令、通知などの一括見直しを行います。来春には制度の一括改正のプランを取りまとめます。例えば制度改革により、道路やプラントなどインフラメンテナンスの規制や、自動車の定期点検、介護施設における人材配置規制などの合理化を進めてまいります。 デジタルインフラについては来年3月までに整備計画をお示しいたします。日本全国どこにいても自動走行などの高速・大容量のデジタルサービスを低遅延で使えるよう、十数カ所の地方データセンター拠点を5年程度で整備いたします。5Gは現在3割程度の人口カバー率を、2023年度に9割に引き上げるとともに、光ファイバーは2030年までに99.9%の世帯をカバーすべく取り組みます。 誰一人取り残されず、全ての人がデジタル化のメリットを享受できる社会の実現を目指してまいります。高齢者をはじめデジタルに不慣れな方などをサポートするために、1万人以上のデジタル推進委員を全国津々浦々で展開します。先日、車座対話の一環として訪問した会津では、自治体、企業、住民、大学が連携し、まさにデジタル田園都市と呼ぶべき新たな時代の地域づくりを進めていました。住民と協力しながらデジタルの社会実装を進め、新しい時代の地域づくりを推進するハブとなれる経営人材を国内100地域に展開いたします。 気候変動問題について、2030年度、46%の削減、2050年、カーボンニュートラルの目標、これはもちろん堅持いたします。私は気候変動問題は新しい資本主義の中心に位置する問題であると捉えています。エネルギー基本計画といった供給側目線での目標を出すだけではなく、経済社会や産業全体が直面する数世代に一度の変革をわが国がどう成し遂げるか、経済社会変革の全体像と併せて道筋を丁寧に示すことが重要です。年明けには、新しい資本主義実現会議の議論と気候変動問題に関する議論をどのように連携させていくか、お示ししたいと思っています。