岸田首相が会見 臨時国会が閉幕(全文1)コロナ飲み薬を年内から医療現場に
当面の間、水際対策を延長
第1に水際対策です。外国人の新規入国停止などの水際対策を11月29日より1カ月をめどとして講じてきましたが、オミクロン株の感染力、重症化リスクなどに関する科学的な評価がいまだ確立してはおりません。このため年末年始の状況を見極めつつ、当面の間、水際対策を延長することといたしました。関連情報の収集に全力を上げつつ、ワクチンの3回目接種や飲める治療薬の普及など、国内対応体制の準備を加速化いたします。 第2に、国内における感染封じ込め対策の強化です。全ての国内感染者についてオミクロン株の検査を行うことで早期探知を徹底いたします。これに加え、オミクロン株の濃厚接触者には自宅待機要請ではなく14日間の宿泊施設での待機を要請するなど、感染封じ込め対策を強化してまいります。 第3に、予防、検査、早期治療のための包括強化策です。ポイントのみ申し上げます。包括強化策の第1の柱はワクチン接種の前倒しです。医療従事者と重症化のリスクが高い65歳以上の高齢者、約3100万人の方々を対象に、3回目のワクチン接種を前倒しで行います。 第2の柱は飲める治療薬の提供開始です。薬事承認を得次第、160万回分確保したメルク社の治療薬を年内から医療現場にお届けいたします。ファイザー社の治療薬200万回分については来年早い時期から医療現場にお届けできるよう準備を進めます。今夏の感染拡大時には新規陽性者が累積で90万人程度発生し、うち重症化リスク保有者は専門家によると20万人程度とされました。メルク社の治療薬160万回分というのは、感染力が今夏の2倍になり、かつ中期的な感染拡大が続いた場合でも、軽症者を含め重症化リスクを有する方全てに対応するのに十分な量であります。
新しい資本主義に向け、近日中に意見募集を開始
第3の柱は無料検査体制の抜本強化です。まずはワクチン接種を受け入れられない方を対象に、年内から予約不要の無料検査を全ての都道府県で開始をいたします。これから年末年始を迎え、人との接触機会が増えることが想定されます。3密の回避やマスク着用、手洗いをはじめ、基本的な感染対策へのご協力をあらためてお願いいたします。海外の専門家の中にはオミクロン株への対策として、風邪の初期症状が見られる方は外出を極力控えるよう呼び掛けるべきとの意見もあります。わが国では市中感染が生じている状況ではありませんが、念には念を入れた対応をお願いいたします。 第4に、新型コロナでお困りの方への支援です。年末を控え、生活が苦しく、年越しに不安を抱える方の声に応えるため、私から補正予算の早期執行を関係大臣に指示いたしました。経済的に困難な学生に対する10万円の給付、住民税非課税世帯に対する10万円の給付などの支援を重層的に講じ、順次、年内から幅広く新型コロナでお困りの方を支援してまいります。12月28日には孤独・孤立対策の重点計画を取りまとめます。官・民・NPOが連携をし、生活困窮者支援、自殺防止、子供の貧困などの問題に取り組んでまいります。何かお悩みのある方はお1人で抱え込まず、ぜひ国や自治体、あるいはNPOの相談窓口にご連絡いただきたいと思っています。 新型コロナによる直接的な影響以外にも、ガソリン価格の高騰、軽石や赤潮による被害、米価下落など、国民生活に大きな影響を与えています。政府はこうした問題にもきめ細かく対応してまいります。足元では生乳の需要減少が大きな問題になっています。生乳の大量廃棄を防ぐため、特に需要が減少する年末年始に牛乳をいつもより1杯多く飲んでいただく、料理に乳製品を活用いただくなど、国民の皆さんのご協力をお願いいたします。 第5に新しい資本主義です。デジタルやカーボンをキーワードとして大きく変化するこの経済社会において、新たな価値を生み出すための鍵である、人への投資を強化してまいります。国だけでメニューを作って支援を行うというこれまでの手法は明らかに限界に来ています。政策の企画立案段階から民間の発想を取り入れることといたします。非正規の方を含め約100万人の方の能力開発や再就職・転職によるステップアップを支援する際に、働く従業員の方、企業経営に携わる方など、多くの国民の皆さんの声を伺った上で制度設計を行う新たなやり方にチャレンジをしてまいります。近日中に皆さんのご意見の募集を開始いたします。ぜひ積極的なご提案をお寄せください。