「この世界の片隅に」ファンの聖地 昭和のくらし博物館で体感した“戦後の生活”
東京都大田区の久が原にある昭和のくらし博物館は、昭和26年(1951年)に建てられた、6人家族の小泉さん宅を当時のまま保存・公開している博物館です。戦後の東京郊外の庶民住宅の様子をよく残していることから、2002年には登録有形文化財となっています。昭和の生活がそのまま残っており、まるでタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。 【写真】昭和のくらし博物館で再現されている「昭和の食卓」
昭和のくらし博物館
旧小泉家住宅(昭和のくらし博物館)は昭和26年に建てられました。同時期には、サンフランシスコ講和条約調印やテレビ放送開始など、日本の復興に向けた動きが活発化していました。 設計者は、建築技師だった小泉孝さん。妻・スズさんと娘4人の6人家族でこの住宅に住んでいたそうです。現在は台所、茶の間、座敷などの各部屋を公開しており、当時の生活用具や家具などが丸ごと展示されています。 玄関を入るとすぐに目に飛び込んでくるのが、書斎兼応接間。日本住宅の玄関わきに一室だけ洋間を取り付ける和洋折衷スタイルは「文化住宅」と呼ばれ、大正末期から流行した造りですが、ここはその要素を取り入れたモダンな応接スペースとなっています。
昭和の食卓
玄関からまっすぐ進むとお茶の間があり、ちゃぶ台の上には、昭和の食卓が再現されています。この部屋では食事をする他、冬には畳を上げて掘りごたつを組み立てたり、ちゃぶ台を片づけて布団を敷けば、寝室としても使用できる部屋だったようです。 お茶の間の横の台所に、所狭しと並ぶ調理道具の数々。当時の台所は、まさに活気に満ち溢れていた様子が目に浮かびます。館長の小泉和子さんによれば「昭和の台所ほど、いろんなモノに溢れていた場所は他にない」そう。洋食が一般家庭に浸透し、調理器具や食器の種類が豊富になったのも、この時代の特徴と言えるでしょう。
子ども部屋では、東京に住む山口家の子どもたちが大切に使っていたおもちゃが展示されています。漫画家の高野文子さんと共に紐解いたこの展示は、季節によって展示内容が変わるのも魅力の一つ。何度訪れても飽きることのない、子ども心をくすぐる空間です。