中学受験を断念し6年生で海外留学を決断した母子 「塾を辞めたい」息子のひと言から始まった新しい人生
── 海外留学の話を息子さんにした際は、どんな反応でしたか。 高橋さん:「海外の学校に行ってみるのはどう?」と声をかけてみると、「楽しそうだし、行ってみてもいいよ」という反応でした。仲のよかった友達がすでに親子で留学していたのと、旅行で海外に行って楽しかった思い出があったからだと思います。 ── 仕事はどう調整したのでしょうか。 高橋さん:ちょうどコロナ禍で、リモートで仕事ができるようになっていたのもタイミングとしてありました。自宅で仕事ができることが増えて、「もしかしたら日本にいなくても仕事を続けられるのでは」と思い始めました。そこから家族と話して、職場とも調整を行いました。英語圏を希望していたこともあって、行き先をカナダに決め、「まずはビザが出る1年間だけ行ってみよう」という気持ちで、半ば勢いで留学を決めました。
── 現地の学校では英語を話す必要があると思います。息子さんの語学の準備はしましたか。 高橋さん:留学を決めてから実際に渡航するまでは1年もなかったと思います。その間、私は仕事を続けていたので、準備だけに集中できるわけではありませんでした。息子は、小学校の中学年頃から1年間ほど英会話のレッスンに通っていました。 「海外旅行で、英語が話せたらもっと友達と遊べるから話せるようになりたい」と言っていたので通わせていたのですが、英検対策や宿題などの読み書きも増えてきて結局、途中で辞めてしまって。英語の準備としては、渡航の直前にオンラインで英会話を学んだだけだったので、準備万端とは言えない状態でした。
■英語が理解できなくても「すぐに友達ができて」 ── 息子さんは学校にすぐ馴染めましたか。 高橋さん:息子が通っている学校は日本人が少なく、クラスにも日本人はいませんでした。おそらく最初の頃は、ほとんど英語を理解できていなかったと思うのですが、子どもならではということもありますし、性格的にも誰とでもすぐ友達になれていました。学校に行きたくないとは一度も言ったことがありません。 こちらの学校では、新学期が始まってすぐはクラスメイトと馴染めるようにという理由のためか分かりませんが、外遊びの時間が多く設けられています。話を聞くと、「1日に4回も外で遊んだ」という時もあって。そういう雰囲気もよかったんだと思います。