「110坪の土地」の相続税がまさかの金額に…苦悩する80歳男性が下した「決断」
「終活」を考えはじめたとき、多くの場合で問題に上がるのが「実家の相続」でしょう。いま持っている土地や資産をなるべく減らさないように、次の世代へ引き継ぐためにはどのような対策が可能になるのでしょうか。 【マンガ】マイホームは「持ち家」か?「賃貸」か? ついにその「答え」がわかった… 相続をサポートする会社『夢相続』を運営する、相続実務士の曽根恵子さんが80代男性Yさんのケースから、相続に関する疑問を紐解いていきます。Yさんは最寄駅から徒歩3分という好立地に約110坪の土地を持ち、そこに妻と娘の3人で住む自宅と、賃貸アパートを建てています。2次相続の際には、相続税は6860万円にも上ると試算され、それを捻出するためには自宅かアパートを売却する必要がありそうです。3通りの土地活用案を比較しながら考えていきます。 記事前編は「『これからどうすれば…』80代男性が所有する『110坪の土地』を前に思わず嘆いてしまったワケ」から。
相続税を節税する土地活用案の比較
現在の自宅とアパートは築50年が経過しているため、耐震性に不安もあり、これから子どもが維持することを考えると建て替えが妥当だと言えます。 そこで、相続税の節税となり、収入も確保できる土地活用の比較案を作成しました。 ---------- 1. 全体を活用する案 2. アパートを売却、売買代金で自宅を建て替える案 3. 全部を売却し、住替え、資産組替をする案 ---------- 1. 全体を活用する案 [内容] 自宅とアパートを解体し、1棟の建物にして、自宅と賃貸住宅を併用する 重量鉄骨造4階建て 4階を自宅、1~3階に1LDKの賃貸住宅が9戸取れ、 [収支] 家賃は月額150万円 建築費は3億5000万円で銀行融資 返済後の手取り月額40万円 [メリット] 土地が残せる 賃貸物件が新しくなる 相続税はかからなくなる [デメリット] 借入が多額 35年返済が必要 2. アパートを売却、売買代金で自宅を建て替える案 [内容] アパートを売却、売却代金で賃貸併用住宅に建て直して賃貸事業は継続する RC造3階建て 1、2階を自宅、3階に1LDKの賃貸住宅が2戸取れる [収支] 家賃は月額40万円 建築費は1億円程度とし、売却代金で賄う アパート60坪は2億7000万円で売却でき、手取り額2億円 [メリット] 土地は半分になるが残せる 賃貸物件が新しくなる 相続税は特例により減らせる 売却代金で建築でき、借入は不要 [デメリット] 土地が半分になる 譲渡税約5000万円かかる 3.全部を売却し、住替え、資産組替をする案 [内容] 自宅とアパートを売却、自宅を住替え、賃貸物件もあらたに購入する 自宅とアパートは約6億円で売却できる見込み 手取りは4億8000万円 [収支] 自宅を1億円で購入、3億円は賃貸物件を購入。 家賃は利回り4%で月額120万円 [メリット] 借入のない自宅、賃貸物件が保有できる 相続税は特例により減らせる [デメリット] 土地が残せない 譲渡税が1億円以上