「110坪の土地」の相続税がまさかの金額に…苦悩する80歳男性が下した「決断」
どのプランを選ぶのがいいか?
Yさんはご家族で話し合いをされ、住み慣れた土地は離れがたいが、全部を残して建て直すには借り入れの負担が大きくて、不安がある。よって両方の折衷案となる2のアパートを売却して、その売却代金で自宅を建て直す案を選択されました。 全部残すパターンと全部を売却するパターンの両方のメリットを生かす形です。 次に売却の仕方ですが、土地は自宅とアパートの2筆に分かれているものの、自宅が手前の道路に面して建っていて、アパートは自宅の裏に建っている奥に長い地形です。そのままでは、アパートの進入路の幅員が狭いため、アパートの建て替えができず、自宅部分の間口をアパート側の敷地につける必要がありました。その分はアパート側の敷地と交換する形で測量し、分筆、現在の面積を確保するようにしました。
将来は両親の自宅も賃貸できる
現在のプランは高齢のYさん夫婦が1階に住み、2階が娘さん、3階が賃貸物件としたプランとしていますが、Yさん夫婦が亡くなったあとは賃貸できるように別世帯として建てるようにします。現在の家賃の見込みは月額40万円ですが、それが倍になるということです。現在はYさんの娘さんは会社員として仕事をしていますが、将来、定年後には収入が減るときには家賃が生活費の補填になります。
現状維持に固執しない
Yさんの相続プランは主にご自宅の土地活用となりました。相続人が子ども1人となるため、大きく残すよりは手堅く維持できる財産とすることをお勧めしました。土地は半分になりましたが、借入のない賃貸併用住宅になり、小規模宅地等の特例により相続税を減らして、収入を増やすことができます。現状維持に固執して大きな借り入れをかかえるよりは、発想を変えて不安なく維持できる財産にすることが現実的でしょう。 Yさん親子からはそうした無理のないプランを提案してもらってよかったと言って頂いています。 * 関連記事「『これからどうすれば…』80代男性が所有する『110坪の土地』を前に思わず嘆いてしまったワケ」ではYさんが置かれていた現状についてさらに詳しく紹介しています。
曽根 恵子(相続実務士)