なぜ議論しない?野放しにされたままのネット選挙、2025年「選挙イヤー」を前にいますぐ改革を開始すべきだ
(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者) ■ ネットと選挙に注目が集まった1年 【写真】こちらはいまも人海戦術で進む、選挙の開票作業 今年はインターネットやSNS、動画と、選挙や政治の関係に関心が集まった年だった。 4月の衆院東京15区補選におけるつきまといやポスター掲示の在り方、7月の東京都知事選挙におけるいわゆる「石丸現象」。元安芸高田市長の石丸伸二氏が事前の予想を覆し、蓮舫元参議院議員を破って170万票近くを集めて2位に大健闘した。 そのほかにも安野貴博氏のブロードリスニングなどもネットと選挙を組み合わせたユニークな実践だった。 そして10月には衆議院議員総選挙。既存政党が軒並み票を減らすなか、国民民主党が7議席から28議席へと大きく票を伸ばし、与党が過半数を割る「宙吊り議会」のなかでキャスティングボートを握り、存在感を見せている。 国民民主党の玉木代表(役職停止処分中)は「永田町のYouTuber」を宣言し、「たまきチャンネル」を開設するなど、近年、SNSでの発信を強化してきた。衆院選の政策キャッチコピーも「手取りを増やす。」とネット受けが良さそうな、短く、即物的なまでに明快な主張を掲げてきた。 選挙直前には石丸氏と対談し、国民民主党は「計画したものではない」というが総選挙最終日には石丸氏も同党の応援でマイクを握っている。その他の少数政党もSNSでの発信に注力する。 11月には兵庫県知事選挙が行われ、県議会は全会一致で不信任決議案を成立させたにもかかわらず、斎藤知事は議会を解散するでも、辞職するでもなく、自動失職を選択。出直し選挙にも立候補し、再選された。 立花孝志氏も立候補し、斎藤氏への投票を呼びかけ、また多くの配信者が集い大量の動画や投稿が流通したこと、また出口調査では、投票した人たちがマスメディアよりもSNSを参考にしたことなどが関心を集めた。 ◎テレビ・新聞よりもSNS? 兵庫県知事選挙で何が? | NHK そして同じ11月には名古屋市長選挙が行われた。長く名古屋市長を務めた河村たかし氏が参院選で日本保守党から立候補し、当選。「減税と経済成長」を持論とする河村氏の路線継承か否かが問われた。 結果は河村市政の継承を主張した広沢一郎氏が当選。敗れた元国民民主党参議院議員の大塚耕平氏はデマの流布を主張し、各社報道もSNSの影響や兵庫県知事選挙からYouTuberらが流れてきたことなどを指摘した。 ◎「デマ、誹謗、妨害に近い」名古屋市長選敗北の大塚氏 圧勝の広沢氏は「減税が一番」 / @Sankei_newsより ◎名古屋市長選挙もSNS影響か…兵庫から転戦したユーチューバーが動画配信、敗れた候補「誹謗中傷もあった」 : 読売新聞オンライン