親に会えるのもあと何回…帰省の今こそチャンス「簡単だけど効果大」な親孝行3選
年末年始は、休暇がカレンダー通りの人にとっては「奇跡の9連休」である。実家に帰る人もおおいだろうが、その際、意識するのが親の“老い”である。ケアマネジャーの田中克典氏は、親が元気なうちに“小さな恩返し”をすべきという――。年末年始に実践できる「おすすめ親孝行3選」をお届けする。 (前後編の後編) *** ※この記事は、『親への小さな恩返し100リスト』(田中克典著、主婦と生活社)の内容をもとに、一部を抜粋/編集してお伝えしています。
認知症のリハビリにも有効な「回想法」
若かった頃や仕事や子育てに夢中だった頃など、昔のことを思い出して懐かしさを感じると、人は幸福感を覚えたり、温かい気持ちになるものです。 「懐かしい」という感情は、ドーパミンという脳内ホルモンを分泌させ、心地よさをもたらします。もともと、認知症のリハビリの一つに「回想法」があります。昔の写真を見たり、お気に入りの音楽を聴いたりしながら当時の経験や思い出を語り合うと、脳の前頭葉が活性化する、と立証されています。 介護の現場でも、それは実感します。認知症になって最近のことは記憶になくても、昔のことはよく覚えているのです。たとえば、美空ひばりのヒット曲を流すと、口ずさみ、「昔、新宿コマ劇場のリサイタルに行ったわ」と、関連する記憶が次々と呼び覚まされて、表情も穏やかに。その変化は驚くほどです。 そういう姿を見ると、思い出は宝物であり、共有できる相手がいることは幸せだと思わずにいられません。頭がしっかりしていて、まだ元気な親に対しても、回想法はもちろん有効。子の世代にとっても、この効果は同じ。 ですので、親と一緒に思い出を振り返ることは、恩返しをしつつ自分も温かい気持ちになれるわけです。たとえば、親と一緒に、自分が幼少期の頃のアルバムを見ると懐かしさで胸がいっぱいになるでしょう。「七五三のとき、エミちゃんったら、着物の帯が苦しいとグズって、大変だったのよ」「あー、だから私、こんな不機嫌な顔で写っているのね」などと笑いながら会話も弾むでしょう。