「103万円の壁」より注意すべき壁…働き損にならない年収はいくら?
「年収の壁」を気にせず働くメリット
年収が「社会保険上の壁」を超えると、手取りは確かに一時的に減少しますので、手取りの減少ばかりに目が行きがちですが、年収の壁を気にせず働くことで、手取りは壁を超える前よりも増やせます。それに、次のようなメリットも得られます。 ☆傷病手当金や出産手当金がもらえる 健康保険に加入すると、傷病手当金と出産手当金がもらえます。傷病手当金は、業務外の病気やケガで会社を休んだ場合に、通算1年6か月にわたって給料のおよそ3分の2に当たる金額がもらえる制度。また、出産手当金は、出産のために会社を休んだ場合、出産日前42日から出産日後56日までにわたって給料のおよそ3分の2がもらえる制度です。自分で社会保険に加入することで、これらのお金がもらえます。 ☆将来受け取る年金が増える 厚生年金に加入すると、将来、老齢厚生年金を受け取れるようになります。国民年金だけの場合、保険料を40年間支払うと、将来に受け取れる老齢基礎年金は、年81万6000円(2024年度)ですが、厚生年金に加入することで、これに上乗せして年金が受け取れます(金額は支払う保険料・加入期間により変わります)。 ☆障害厚生年金、遺族厚生年金も受け取れる 厚生年金に加入している人が万一、所定の障害を負ったり、亡くなったりした場合には、障害厚生年金・遺族厚生年金も支払われます。加入していない場合よりも、より手厚い保障が受けられます。 手取りが大きく減ってしまうのを避けるために、壁を意識して働くのは一つの考えです。しかし、働く意欲があり、働ける状況にあるのであれば、「年収の壁」を気にせずに働くのもよいのではないでしょうか。(ファイナンシャルプランナー 高山一恵)