「103万円の壁」より注意すべき壁…働き損にならない年収はいくら?
問題は「社会保険上の壁」、手取りが減らないようにするには
「税法上の壁」と「社会保険上の壁」で、影響が大きいのは「社会保険上の壁」です。「税法上の壁」を超えると確かに税金が発生しますが、税金がかかるのはあくまで「超えた分」に対してなので、多少超えたくらいではそれほど税金は増えません。 しかし、「社会保険上の壁」を超えると、給与収入全体に対して社会保険料がかかります。社会保険料の負担は年間で15万円、20万円などと高額になります。そのため、社会保険に加入しない方が手取りが多くなるといった逆転現象が起きる場合があります。「社会保険上の壁」に該当する人が「働き損」と呼ばれるのは、このためです。 では、社会保険料を支払っても手取りが減らないようにするには、年収をいくらにすればよいのでしょうか。以下の条件で計算してみました。 <前提条件> ◇社会保険料は給与収入の15% ◇所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみ ◇住民税は所得割10%+均等割5000円 <106万円の壁の手取り額> ◇給与収入105万円…手取り額103万7000円 ◇給与収入106万円…手取り額89万6000円 ◇給与収入125万円…手取り額104万7700円 給与収入が105万円の場合、手取り額は103万7000円ですが、給与収入が106万円になると社会保険料がかかり、手取りが89万6000円に減り、逆転現象が発生します。「年収124万円」までであれば働き損になってしまいますが、給与収入が125万円程度になれば、手取り額が104万7700円となり、逆転現象が解消できます。 <130万円の壁での手取り額> ◇給与収入129万円…手取り額124万1000円 ◇給与収入130万円…手取り額108万3800円 ◇給与収入153万円…手取り額125万円 給与収入が129万円の場合、手取り額は124万1000円ですが、給与収入が130万円になると社会保険料がかかり、手取りが108万3800円に減り、逆転現象が発生します。「年収152万円」までであれば働き損になってしまいますが、給与収入がおよそ153万円になれば、手取り額が125万円となり、逆転現象が解消できます。 なお、実際には他の控除などを受けることで手取り額が変わってきますので、あくまで参考程度に見てください。