3児の母となった鈴木亜美「少子化対策はお金だけでなく社会の理解も必要」
2022年の出生数が80万人を下回った。これは1899年の統計開始以来初で、政府機関の推計よりも10年ほど早いペースで少子化が進んでいる。政府の少子化対策に大きな注目が集まる中、昨年40歳で第3子を出産した歌手の鈴木亜美さんは「少子化対策は“新しい制度”だけでなく“社会全体の理解”が必要」と語る。そんな鈴木亜美さんに子育てと子どもに対する社会の在り方について聞いた。(Yahoo!ニュース Voice)
“痛みがなければ親になれない”ということはない
――一般的に経産婦(出産の経験がある女性)の方は40歳から高齢出産といわれていますが、第3子の妊娠を知った時の気持ちは? 鈴木亜美: 驚きと嬉しさ、そして戸惑いがありました。結婚・出産を機に運動もあまりしていなかったので、長男次男を産んだ時には体力が落ちてしまい疲れも取れず、育児と仕事の両立が大変でした。しかも、今回は40歳という年齢もあるので正直不安もありました。しかし「3人目の長女が20歳の時に私はもう60歳なので、これを機に頑張って体を鍛えてみよう」と、考え方も変わっていきました。 クリニックの先生も「高齢で子どもを作るか悩んでいる人がいる中で、亜美さんのように高齢出産に臨む人がいると嬉しい」とおっしゃってくださり、それを聞いて頑張ってみようかなと思いました。夫もなるべく在宅勤務できるように仕事を調整して、上の子2人の面倒を見てくれたり、義理の両親も近くに住んでいたりするので、周りの協力してくれる人にも支えてもらいました。 ――今回初めて無痛分娩を選択されたと伺いました。 鈴木亜美: 長男と次男を普通分娩で産んで、その苦しみや痛みも分かっていましたし、2人目のときは1人目よりも出産の時間を長く感じていました。でも、実際は長男の時よりも短い時間だったんです。ずっと「この先にあの痛みがあるんだ」と思っていたからかもしれません。長男や次男もいるので、産後はあまりじっとしていられないだろうなという思いから無痛分娩を選びました。無痛分娩は、赤ちゃんが下りてくる感じや出てくる感じが分かるという話も聞いていたので、それを感じたいと思ったことも選んだ理由です。実際、産後すぐにお腹が空いて、産まれたばかりの赤ちゃんの横でご飯を食べました。陣痛の長い疲労感が無い分、次の日からも元気で赤ちゃんのお世話もできるし、普通分娩とこんなに違うんだなと実感しました。 ――無痛分娩はリスクが高いという話もあります。 鈴木亜美: クリニックの先生には「実際はリスクはとても低いですよ。安心してください」と説明してくれました。妊婦さんが一番不安なのは“痛み”だと思うんです。「陣痛はどんな痛みだろう。出産はどんな痛さだろう」と考える人は多いと思います。私もそうでしたが、相当の覚悟がいるんですよね。そこを今回は無痛分娩にしたことで安心して出産に臨めました。 無痛分娩に関してはいろいろな考え方がありますが、私は出産で“痛み”を味わわない選択もあっていいと思います。海外で無痛分娩は一般的なことですが、日本ではまだ普及が少し遅れているということで、“痛みを感じて初めて母親になる”という考えを持っている方も多いですが、“痛みがなければ親としての責任感を持てない”ということは絶対ないと思います。クリニックの先生も「日本の技術は優れている。無痛分娩の良さを広めてほしい」とおっしゃっていましたし、痛みが心配という方は選択肢の一つとして無痛分娩で安心して赤ちゃんを産んでほしいなと思います。 ――3人目のお子さんが産まれて、生活は変化しましたか。 鈴木亜美: とにかく人手が足りないです(笑)。夫婦で手が空いている方が何かをして、常に動いていないと1日が終わらない。物も片付かないし、子どもたちの支度も進みません。私が赤ちゃんをみる機会が多いので、お兄ちゃん2人を夫がまとめて保育園に連れて行ったり準備をしたりしています。そういった面では、夫婦の絆が強くなりました。 子どもたちにも変化があって、上の子2人は男同士でケンカも多いですが、そこにかわいい妹が入ると2人とも急に変わるんですよね。ケンカが一瞬で終わるので、末っ子がそういう役割をしてくれています。守らなきゃいけない人ができたことで“僕たちはお兄ちゃん”“自分たちがしっかりしなきゃ”という意志も出てきたように感じますね。 1年間のイベントも、とにかく盛りだくさんです。初めての女の子ということもあり、ひな祭りなどこれまでなかったイベントも増えました。忙しいですけど、1年があっという間だなと思って日々過ごしています。