今田耕司「独身男子は、酒の席で聞く“家庭の愚痴”にだまされてる」結婚にポジティブなのにできない理由
藤田ニコル&稲葉友、羽生結弦など、直近は著名人の結婚報告が相次いだ。おめでたいニュースで世間が盛り上がる一方で、年々増加する日本の生涯未婚率からもわかるように、独身者が増えていることは否めない。結婚したくないのか、それとも、結婚できないのか。“最後の独身大物芸人”といわれる今田耕司さん(57)に、独身男性が結婚についてどう思っているのか、話を聞いた。(ジャーナリスト・中村竜太郎/Yahoo!ニュース Voice)
結婚しない人の象徴・今田耕司
――少子化が社会問題となっていますが、未婚化晩婚化も深刻です。今田さんは結婚についてどう思いますか。 今田耕司: なんか、僕は「結婚しない人の象徴」になってしまいましたね。僕自身は結婚したいのにできないから、「やばいな」しかないですし、「どうしよう」ばっかりです。焦りまくっていますけどね。 アローン会(吉本興業の独身芸人グループ)のメンバー、チュートリアルの徳井には「50歳から景色が変わるので、50歳までに結婚したほうがええで」ってアドバイスしていますけど、40代はまだ、おじさんのカテゴリー。50代はそのうち老人会の一番手に入りますから(笑)。さて、どうしたもんかな。 ――でも、その気になれば結婚できるのでは? 今田耕司: 誰でもいいとなったら、もしかすると結婚できるんじゃないかとも思います。けれど実際、好きにならないといけないから、これは難しい。僕が好きでも相手が好きではなかったり、相手が好きでも僕がもうひとつみたいな。お互いの温度が合わないことがある。おそらく独身者は多少意識はすると思うんですけど、結婚したら「こういう人と結婚したんだ」とまわりの人が思うでしょうし、「だから今まで結婚しなかっんだ」と世間が納得してくれるような人じゃないといけないのかな、と思ってしまう。それがまた面倒くさくなって「まあいいか」ってなるんです。 すごく結婚したいという気持ちと、独身でもいいかという気持ちが行ったり来たり、せめぎ合っている。だからいままで結婚しなかったというか、年齢がいけばいくほどそんな傾向が強くなってしまったのかもしれません。「若いときに勢いで結婚」というのはありますが、本当に大事かもしれませんね。 でも、勢いないですからね、僕は。むちゃくちゃ吟味して、粗探しみたいなことをしている。だからマイナスなことを探しては、自分を納得させているっていうか。プラスのこと考えていったほうが絶対に楽しいはずなんですけど、そっちがまだマイナスに負けちゃうんですよね。「結婚すると、もう夜に自由に外出できないのか」とか、そんなマイナスポイントをどんどん自分で貯めていっているような気がします。 ――「結婚するものだ」「子育てするものだ」という一般的な価値観についてはどう思いますか。 今田耕司: いや、多少そういうプレッシャーがあったほうがいいんじゃないかなと思いますね。社会という集合体で生活している以上、「そろそろ結婚したほうがいいんじゃないか」と言われるのはしょうがないと思うんです。「人それぞれだからそんなことを言っちゃダメ」というのは、言われないと僕はしなかったりもするので、言われるぐらいがちょうどいい。自分がそういう年齢だと自覚して、そのプレッシャーをはねのけて、まさかの独身ですからね。「まだ結婚していない?」とか、「まだそんなことしてんの?」と言われ続けて、普通はどっかで心が折れて、妥協する。でも僕は折れなかった。そこは自分を褒めてあげたい(笑)。 ――特に若い人のなかには「結婚と子育てはリスク」と考える人がいますが、それについてはどう思われますか。 今田耕司: みんな外に出たとき、「めっちゃ幸せ」「家族が最高」なんてめったに言わないじゃないですか、たとえそうであっても。マイナス面や自虐的な話をしたりして、その場が盛り上がったら、「俺も俺も」と家庭の不満をとりあえず口にする。普段の生活では“9が幸せ”なのに、“1の不満”を探して酒のつまみにしているだけ。本当はもっと楽しいことがたくさんあるけど、お酒を飲んでいるときに自分の家庭の楽しいことばっかり言っても「自慢か」って言われるし、しょうがないからマイナス面を言う。しかし独身の男の子なんか、それに騙されているんじゃないかな。たぶん結婚したらいいことがいっぱいあるぞ、僕はそう思います。 ――こうして質問していながら恐縮ですが、結婚しないとあれこれ言われますよね。どんな気持ちで受け止めていますか。 今田耕司: まあ僕は芸人ですから、結婚していない理由を面白おかしくじゃないですけど、それなりに話さなきゃいけないというスイッチはありますね。放おっておいてくれたら楽ですけど、仕事柄そういうわけにもいかない。なぜ結婚しないのかと問われても、「こっちが知りたいねん」「なんで、せーへんねやろ」と思いますよ。僕も実は答えを持っていないので、説明に困るんですよね。