親の収入を鑑みれば当然でしたが…関西の証券会社に堂々入社も上司ガチャでハズレ、新卒1年目で手取りゼロに。「月1万5,000円」23歳無職男性の少ない貯金が削りとられるワケ
奨学金の総貸与人数483万人のリアル
JASSOによると、2022年時点で奨学金の総貸与人数は483万人に上るという。そのなかには、Aさんのように予期せぬ事情で返済が困難になるケースも少なくない。 Aさんは大学進学時、これから約300万円の奨学金を借りることは認識しており、「働いていれば問題なく返せる額だろう」と考えていた。親の収入的にも奨学金を借りることが当たり前の選択であったという。 突然働けなくなるリスクは誰にでも存在する。多くの若者が、社会復帰が難しいまま傷病手当や生活保護を受給しながら生活しているのだ。Aさんのように奨学金の返済が難しい場合には一度、減額返還制度と返還期限猶予制度の利用を検討してほしい。減額返還では月の返還額を最長1年間(通算10年以内)、最大半分まで減額することができ、返還期限猶予は支払期限を最長1年間(通算10年以内)延長することができる。ただし、元金や利子の免除とはならないため、注意が必要である。
奨学金返済を社会全体で支える必要性
若者が奨学金を借りることに対して不安を抱かず、安心して高等教育を学び、社会で活躍できる環境を整えることは、社会全体の責任といえる。給付型奨学金の拡充や、学費の無償化といった政策の実現はもちろん重要だが、現在奨学金を返済している483万人に対する支援を今すぐに行うことが、結果として将来高等教育を受ける若者の不安を軽減し、より多くの学生の教育機会を生み出すことにつながるのではないだろうか。 奨学金が正しく返済され、次世代の学生の高等教育機会に活用される循環型の仕組みを構築するためには、奨学金団体だけではなく、民間企業も一体となって奨学金を支援していく必要がある。 大野 順也 アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長 奨学金バンク創設者