強豪DRRが“ダッジ”と提携。王者ラーソンが『ホーネットR/T』でデビューウイン/ナイトロクロス開幕戦
北米発のエクストリーム系ラリークロス選手権『Nitrocross(ナイトロクロス)』が、早くも2024/2025年シーズンの開幕戦を迎え、今季も最高峰グループEクラスでは水素燃料電池スタック搭載の1080PS(800kW)、0~100km/h加速約1.4秒を誇るワンメイクモデル『FC1-X』で争われることに。 【写真】新型EVシルエットベースでデビューウインを飾った『ダッジ・ホーネットR/T』 初開催地となった9月7~8日のリッチモンド・レースウェイでは、シリーズチャンピオンのドレイヤー&レインボールド・レーシングが、名門『ダッジ』ブランドと提携することもアナウンスされ、今季より新型EVのシルエットをベースとした『Dodge Hornet R/T(ダッジ・ホーネットR/T)』を投入する。 シリーズ創設者兼初代王者のトラビス・パストラーナ(バーモントスポーツカー)がサポートカテゴリーへの出場に専念する一方、北欧の雄であるオルスバーグMSEからはオリバー・エリクソンに加えタナー・ファウストが参戦。さらにDRRウィズJCレーステクニック(DRR JC)所属の2連覇王者ロビン・ラーソンやアンドレアス・バッケルド、フレイザー・マッコーネルらに加え、最後の1台には“レジェンド”ケン・ブロックの愛娘であるリアが昇格を果たすなど、引き続き豪華ドライバー陣が顔を揃えた。 「ダッジはアメリカのパフォーマンス・ブランドとして広く知られており、彼らの旗を掲げて『ダッジ・ホーネットR/T FC1-X』でシリーズを戦うことは、我々のカラーにもピッタリだと思っている」と語ったのは、開幕に際して4台のニューモデルを投入するDRR JC代表のデニス・レインボールド。 「ダッジと同じように我々もスピードを出すのが大好きで、同じDNAを共有しているようなものだ。記録破りのペースで成長を続けるナイトロクロスに彼らが参戦するのは、このチームにとって素晴らしい提携だね」 シリーズの運営面で今季より北米のストックカー最高峰NASCARとの戦略的提携を結んでいるナイトロクロスだが、この動きとも関係してか。近年はダッジのNASCARへの復帰やIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権進出の憶測が囁かれている。 同ブランドのCEOを務めるマット・マカリアは、改めてそれらの噂を受け流しつつ、ターゲット層が若いナイトロクロスへの進出が同社の電気自動車を新たな観客に売り込む理想的な場所だと強調する。 「このシリーズのファンは、その約75%を18~34歳が占めている。そのため、このシリーズはダッジがモータースポーツでの存在感を拡大し、若くて熱心な潜在観客にダッジ・ホーネットを紹介するのに最適な場所なんだ」と続けたマカリアCEO。 「DRR JCのようなチャンピオンシップを制覇した組織が、こうしてダッジの旗を掲げ、素晴らしいデビューシーズンを送ってくれることを期待している」 ■デビュー戦のダッジが初戦でダブル表彰台 こうして迎えた初戦は、序盤のヒートレースから2勝を挙げ、予選でトップの座を獲得したチャンピオンが先行し、セミファイナルでの勝利に続いてファイナルでも首位を堅持していく。 その背後でも、チームメイトのマッコーネルとバッケルドが2番手を争い、エリクソンがそれを追う展開に。この陣営内バトルの結末は接触で右後輪が外れたバッケルドが1周遅れの7位へと後退し、この間隙を突いたエリクソンが2位を奪取。それでも勝者ラーソン、3位マッコーネルと、デビュー戦のダッジが初戦でダブル表彰台を決める結果となった。 「このレースに臨む前は少し不安だったが、良い一日になったね。ターマックの配分が多く、自分の運転技術には舗装路はあまり向いていないと思っていたんだ」と振り返ったラーソン。 「自分がより速く、まったく別のレベルでドライブできるという自信が持てると、体全体が落ち着くね。チームのおかげで完璧な一日を過ごすことができたよ」 一方、僚友のケビン・エリクソン(オルスバーグMSE)がジャンプの激しい着地で背中を負傷し、午前の時点でドクターストップが掛かったことから、孤軍奮闘のポディウム獲得となっていたオリバーは、明けた日曜も単騎でDRR JCの牙城に挑むことに。 ファイナルを2番手からスタートしたオリジナルのFC1-Xは、ポールポジションのマッコーネルがハーフスピン状態に陥ったのを見逃さず、すぐさま首位浮上を果たす。 同じく3番手に上がってきたヴィクトル・ブランクス(VMVレーシング)を抑え込み、なんとかポジション奪還を狙ったDRR JC+チーム・フラズスのジャマイカ出身ドライバーだったが、兄弟のために奮起したノルウェー出身者には届かず。オリバーが週末を最多得点で締めくくり、自身初めてチャンピオンシップの首位に立った。 「フレイザーにはかわいそうなことをしたが、僕はすぐ後ろに隠れていた。それこそが僕の計画だったからね。何もリスクを冒さないこと。それが今シーズンの僕のやり方だ。今年はなんとしてもレースを完走したかったんだ」と勝者オリバー。 同じく自身初表彰台を獲得した19歳のブランクスが、ランキングでも4位に続いたナイトロクロスの2024/25シーズン。続く第2戦は10月5~6日にソルトレイク・シティのユタ・モータースポーツキャンパスで争われる。 [オートスポーツweb 2024年09月11日]