かんしゃくの原因は「性格や発達障害」じゃない? 発達外来の医師が親に教える対処法
●今、楽しんでいることをやめたくない→切り替えた後のメリットを伝える 「今、楽しんでいること」をガマンして別の行動に切り替えさせるときに、かんしゃくのスイッチが入ることも(空腹、眠気、疲れが重なっているとその場でひっくり返って泣くパターンに!)。 事前に「(時計を見せつつ)あと〇分したら帰って、アイスを食べよう」「お腹空いたね。ごはんを食べたら、パパとボールで遊ぼう」など、行動を変えた後のメリット(好きな物、楽しいこと)がわかる指示を出すことが、切り替えをスムーズにするコツです。 ●やりたいことができない、欲しい物が手に入らない→事前にルールを伝える 「やりたい!」「欲しい!」「この動画見たい!」と望んでいたものが手に入らないことがわかると、泣いて親に要求することも。事前に「今日はオモチャを買わないよ」「時計の長い針が一番下にきたらおしまいだよ」と約束。子どもが泣いたら「欲しかったよね。でも約束だから」と気持ちには寄り添いつつ、親がリーダーシップを取って! かんしゃく行動に付き合わずその場から離れて約束を守らせ、「ガマンできたね」と認める声かけを粘り強く繰り返しましょう。 ●楽しくない、待つのはつまらない→遊び方や楽しみ方を経験、待てたらほめる 「楽しくない」「つまらない」と思ったときに不機嫌になることも。でも、それは「遊び方」「楽しみ方」を知らないだけかもしれません。例えば、友だちとのルール遊びの楽しみ方がわからず不機嫌になるのなら、まず親子で追いかけっこなどルール遊びをして楽しむ経験を。また、待ち時間にできる遊び(手遊び、絵本、塗り絵、折り紙)をしたり、「待てたね」「待っていてくれて助かったよ」と肯定的な言葉をかけたりすることで、少しずつガマンして待てるようになります。 ●不安、緊張→事前にイラスト、写真+文字を見せながらスケジュールを説明 慣れない場所、知らない人、病院の受診、乳幼児健診、保育園や幼稚園のいつもと違う雰囲気の行事などで、不安・緊張からかんしゃく、パニックが起きやすい場合は、事前に説明して予防することが第一。 言葉だけで説明するのではなく、視覚情報(写真、イラスト、動画、文字)を使い、どんな場所に行くのか、何をするのかを順番に伝えて最後はごほうびが待っている流れにし、ポジティブな見通しをもたせます。予防接種の注射はとてもがんばりがいることなので、特別にオモチャなどのスペシャルなごほうびにするのもアリだと思います。
西村佑美 (発達専門小児科医/一般社団法人 日本小児発達子育て支援協会 代表理事)