「東京の離島」と「石垣島や宮古島」で分かれた明暗。“観光資源に差がない”のに観光客数が伸び悩む理由
小笠原空港は幻で終わるのか?
伊豆諸島や小笠原諸島は、認知度が高くないという最大の課題を抱えています。これは観光客だけでなく、ビジネスに関わる人も同じ。宿泊施設などの開発を行うディベロッパーは、土地の所有権や地形、インフラ、物流など、離島にまつわる情報が足りていません。これは資金を提供する金融機関も同様でしょう。 島内は小規模事業者が宿泊施設、飲食店などを経営しているため、リゾート開発などの大きな絵を描ける事業者が少ないという課題もあります。 海外観光客が増加していることや、円安で日本人が海外旅行をしづらい傾向が続く今こそ、東京都の離島を開発する意義は大きいでしょう。 小笠原村では空港建設計画が立ち上がり、島民悲願の空路開拓に向けて前進しました。しかし、世界自然遺産に登録されたために生態系に影響を与えるわけにもいかず、計画は暗礁に乗り上げています。東海汽船にとっては小笠原諸島への輸送手段の独占状態が終わるものの、観光産業が盛り上がれば船での周辺の島への移動が活発になり、恩恵は多いはず。空港開発は東京諸島の観光業を大きく変えるインパクトを持っていますが、現在はまだ検討段階として前に進む様子はありません。 <TEXT/不破聡> 【不破聡】 フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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