【毎日書評】腹をくくれ。動く大地=日本に住む、私たちが大震災に備えるべき「リスクヘッジ」
2024年元日の能登半島地震をきっかけとして、首都直下地震への警戒感が強まってから8か月。去る8月8日には、宮崎県沖の日向灘を震源とするマグニチュード(M)7.1の地震が発生し、深刻な被害をもたらすであろう南海トラフ地震発生の可能性に注目が集まることになりました。 現時点で政府の地震調査委員会は「現時点でプレート境界に異変を示すデータはない」としているものの、大地震がいつ起きるかは予想できないもの。そのため、必要な知識を身につけ、しっかりと備えをしておく必要があります。そこで参考にしたいのが、『首都直下 南海トラフ地震に備えよ』(鎌田浩毅 著、SB新書)。 地球科学・火山学・科学教育を専門とする京都大学名誉教授である著者が、知っておくべきリスクや予想される災害のシナリオ、被害想定、命を守るためにすべきことを簡潔にまとめた一冊です。東日本大地震の翌年にあたる2012年に刊行された『地震と火山の日本を生きのびる知恵』(メディアファクトリー)~2021年の改訂版『書と直下型地震と南海トラフ』(MdN新書)に次いで発行されたもの。 首都圏に暮らす4434万人を襲う首都圏直下地震はいつ起きてもおかしくない状況です。また、2030年から2040年の間にはマグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震が西日本を襲うと予想されています。 そこで本書では、南海トラフ巨大地震に向けて内陸地震が増えている事実、再び活発になっている活火山の状況、日本海沿岸の地下に集中する「ひずみ」によって警戒が必要な各地の直下型地震など、最新の科学的知見を取り入れて、全面的に見直した改訂版を『首都直下 南海トラフ地震に備えよ』として上梓することになりました。(「はじめに」より) 注目すべきは、地震や火山についての知識がない方でも無理なく読み進められる内容になっていること。そのため、いま記憶にとどめておくべきことをしっかり学ぶことができるわけです。 きょうはそのなかから、「これからの生き方」についての考え方がまとめられた終章「地球や自然とどうつきあうか」に注目してみたいと思います。