あえて”捨てゲーム”?!大敗でCS圏内の2位浮上に失敗した西武の辻監督が「明日からを考えた」理由とは?
しかし3回から登板した田村伊知郎、リード・ギャレットの両右腕が楽天打線の勢いを止める。味方のエラーで招いたピンチでスクイズから1点を失ったものの、田村は3イニングを自責点0で踏ん張る。勝ちパターンの継投から外れていたギャレットも、最速159キロをマークしたストレートを軸に小郷、鈴木から空振り三振を奪う力投で6回をゼロに抑えた。 その間に打線も4回に8番のコーリー・スパンジェンバーグ、6回には9番・山野辺翔のタイムリーで1点ずつを返す。3点差まで追い上げたところで、西武ベンチは4番手として國場を送った。登板時の成績は6試合で8イニングを投げて防御率は4.50。勝ちパターンの継投に組み入れられてはいなかったが、本拠地9連戦の3戦目という状況を辻監督以下の首脳陣は重要視したのだろう。 ともに4-3で逃げ切った27日と28日の楽天戦で、豪腕セットアッパー・平良海馬と守護神・増田達至は連投している。最多勝を狙う涌井秀章を攻略した前夜では2人の前に、昨年のドラフト1位・宮川哲、防御率1点台をキープしている森脇亮介の両右腕もマウンドに上がっている。 加えて、ローテーションでは30日のソフトバンクとの3連戦初戦に先発予定だった今井達也が、28日にブルペンでピッチングをしてから身体の張りが取れない、と訴えて登板を急きょ回避。中継ぎとして33試合に登板している右腕・平井克典が、予告先発としてアナウンスされた。 ローテーションの谷間を埋める形で先発に回った今シーズンの過去3試合で、平井が最も長く投げたのは5イニング。対するソフトバンクは前回24日の対戦で、7回をわずか1安打で零封された東浜巨が先発する。継投を含めた総力戦が必至だからこそ、勝ちパターンの継投陣をまずは温存した。 もちろん、國場が抑えれば、3番・森友哉から始まる7回裏の攻撃にも弾みがつく。しかし、先頭の6番・ロメロのライトフライを外崎修汰が落球。犠打でスコアリングポジションに送られピンチとなったが、8番・辰己涼介の強烈なライン際のゴロを、一塁のメヒアが超ファインプレーでアウトにした。 いよいよムードが高まった直後に状況は暗転する。9番・田中貴也への初球、気の抜けたようなカーブがど真ん中に入った。先月下旬に読売ジャイアンツから金銭トレードで加入した28歳が、ライトスタンドへ突き刺したプロ入り初アーチに辻監督も再び嘆くしかなかった。 「一番大事なところなんだけど。メヒアのいいプレーからの2アウト3塁で、やっぱり初球を簡単に2ランというのはいただけないかな」