なぜラミレス監督は代打安打&激走のドラ1森敬斗を「何かスペシャルなものを持っている選手」と絶賛したのか
横浜DeNAが29日、横浜スタジアムで行われた巨人戦に5-2で快勝し、同一カード3連勝で優勝を阻止する意地を見せた。チームは4連勝。僅差の接戦で巨人を突き放すきっかけを作ったのがドラフト1位のルーキー、森敬斗(18)の代打ヒットだ。しかも、左腕の田口麗斗から打った価値ある一打で“首位打者“梶谷隆幸のライト前ヒットでホームを陥れる激走で自慢の足も魅せた。今季限りで退団するラミレス監督は「何かスペシャルなものを持っている選手」と絶賛。今日30日からの阪神3連戦の中でのスタメン出場が予定されている。
左腕の田口を攻略できた理由
勝負の7回にラミレス監督は、代打・森を告げた。リードはわずか1点。ちょうど、回の先頭が投手の打席となる重要な場面でドラ1のルーキーを起用した。マウンドには、この回から、左の田口。常識では左対左はない。だが、森は、「左でも右でも行くぞ」と伝えられていた。近い将来、森がレギュラーの座をつかみにいくのならば、対左が苦手では、定位置は確保できない。この起用は、去り行くラミレス監督の“置き土産“だったのかもしれない。 森は、打席に入る前に左対策で注意すべき「悪い癖」を脳裏で反復した。 「左ピッチャーは角度が違うので(体が)開いた感じになってしまうんです。その悪い癖を出さないように意識して準備をしました」 左腕を苦手とする左打者は、右肩、右膝が先に割れて、打撃フォームが開き、内のボールがファウルになり、外のボールに届かず崩れるのが常である。だが、その対左の「悪い癖」をしっかりと意識して打席に入るのだから、恐るべき18歳である。 新型コロナ禍による制限で1万2623人と発表されたハマスタに快音が響く。 1ストライクからの2球目。真ん中低めに入ってきた132キロのやや変化の少なかったスライダーを見逃さない。快音を残した打球は糸を引くようにしてセンター前へ。プロ2本目のヒットだ。 「しっかりとスイングができました。意識して準備したことが結果につながったと思います」 端正な甘いマスク。ハマスタの拍手のボルテージが上がった。 「1日目は緊張していました。最初は余裕がありませんでしたが、大観衆の前でやれる喜びを感じながら声援を力に変えられているなと感じます」 なかなか高卒1年目のルーキーが言える言葉ではない。クレバーだ。 27日に1軍初昇格し、その日の巨人戦で代打起用された。そのプロ初打席で、あわや本塁打の衝撃の二塁打を放ち、存在感を示した森が、プロ3打席目にして左投手を攻略して見せたのである。