「おちょやん」仁村紗和 あこがれの朝ドラ射止めた裏側
やわらかな表情の中にもキリッと強い意志を感じさせる太い眉が印象的な女優、仁村紗和(にむら・さわ)。ドラマ、映画、CMなど出演のたび確かな存在感を残してきた。いまはNHK連続テレビ小説「おちょやん」(月~土、午前8時ほか)でヒロイン・千代(杉咲花)の奉公先の芝居茶屋で働く先輩お茶子、節子役を演じる。過去、幾度も受けた朝ドラオーディションに初めて合格。これを機に注目度が上昇中だ。 【写真特集】夢かなった朝ドラ出演、仁村紗和
オーディションで初めて感じた手応え
“大阪のお母さん”と親しまれた上方女優・浪花千栄子をモデルに、戦前から戦後の大阪で貧しく生まれた少女が女優を目指す生涯をフィクションで描く「おちょやん」。仁村演じる節子は道頓堀の芝居茶屋「岡安」のお茶子(客の送迎、飲食の接待などをする)だ。 「朝ドラに出てみたい、というあこがれはずっと持っていました。お着物を着た時代ものをやってみたかったんです」 念願かなって“初朝ドラ”を射止めたが、たどり着くまでの道のりは簡単ではなかった。 「祖父母はじめ家族、親戚一同、喜んでくれたんです。友達も『すごいじゃん』って。朝ドラのオーディションは5回以上は受けています。毎年オーディションシートを書いていましたが、今回夢がかなってみんなが祝福してくれました」 選ばれた具体的な理由はわからないが、これまでとは異なる手応えがあったそうだ。 「いままでで一番、演出家さんとオーディションのとき楽しくお話できたんです。ノリが関西の方ということもあって、私もそういうノリが出ちゃうというか(仁村も大阪出身)、話が合いました」
朝ドラ現場の凄さ 節子役で感じる難しさ
今年は新型コロナウイルス感染拡大で社会がさまざまな影響を受けた。朝ドラも例外ではなく前作「エール」は中断を経て10話短縮され、「おちょやん」は撮影が始まってまもなく撮影中断、放送開始は11月末からと約2ヵ月ずれ込んだ。 「撮影自粛明けで初めての現場が『おちょやん』。朝ドラはやっぱり、他のドラマとは違いますね。1週間分を月曜にリハーサルするんです。その週の分を月曜を丸一日使い、立ち稽古。映画なら珍しくないですが、ドラマで毎週リハをやるのは新鮮でした。あとはカメラの台数。ドラマではたいてい2台ですが、5台もあるんです。ぜいたくな現場だな、と」 節子役には難しさも感じている。 「難しい立ち位置というか。出すぎてもだめだし。演出の方から、お茶子メンバーそれぞれに役のイメージをアドバイスされたんです。私は、所作だったり話し方で、少しずつゆったりとしたイメージで、“色気”を見せることができるようにと。すごく悩んで難しかったです。お着物の所作での色気というのをお着物の先生に『これで合ってますか?』『こうするとお行儀悪いですか?』と時代背景も考慮しつつ相談しながら、すごく学ばせてもらいました。そこは見どころですね。お茶子メンバーは所作をすごく勉強しました」