ゲリラ豪雨が多かったこの夏は、片頭痛持ちにとってつらかった。同じ病を持つ人のお陰で心が救われ
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。第75回は「初めての入院」です。 * * * * * * * ◆嫌な予感がした 5年前、人生で初めての入院というものをした。 最初は酷い下痢と、長時間におよぶ激しい腹痛だった。その症状は前にも経験したことがあり、「急性胃腸炎だ」と体感でわかった(その時は入院せず、点滴しただけで帰された)。 近くのクリニックを受診するも、座っていることも難しく、処置室のベッドの上でなんどものけぞりのたうち回った。点滴を受けて帰宅したが、まだお腹が痛く真っすぐ歩くことができなかった。帰宅後、また夜に激しい腹痛がぶり返し、大きな病院に入院することになった。 当時私は転職活動が難航し、日雇いの派遣で食いつないでいる状況で、とにかくお金がなかった。腹痛の原因は分からなかったが、医者によると急性胃腸炎だろうということだったので、1日で自己都合で退院した。しかし、退院するとき、治まっていたはずの腹痛が少しぶり返し、何だか嫌な予感がした。 しかし、その日の午後、病院から電話がかかってきた。血液検査の結果、肝臓の数値が基準値を大幅に超えている。今すぐ入院する必要がある、という。 準備があるので今すぐは難しい、と言うと、明日のあさイチで来るように、と言われた。洗濯物の準備をしていると、みぞおちから背中にかけて痛み始め、徐々に鋭い痛みにかわり、冷や汗が出てくる。これはまずい、と思った。
◆恐ろしくてしかたがなかった 結局、朝を待たずに、夜遅く、電気の消えた救急外来のドアを叩き、そのまま入院となった。当時、私は東京に来たばかりで、知り合いや頼れる人もおらず、心細い入院生活が始まった。 血液検査の結果、肝臓の数値が上がっていて、放っておくと危険、ということはわかっていたが、原因はわからず、どれくらい入院すればいいのかもわからなかった。 また、主治医がとても言葉足らずで粗雑な人で、「とにかく絶食ね!!」としか言われず、これから自分はどうなるのだろう、と不安だけが膨れ上がっていった。摂取するのを許されていたのは水や麦茶などカフェインの入っていない飲み物だけ。だんだん頭が働かなくなっていく。 加えて、一番の不安はお金の問題。1回目の入院で3万8千円かかっており、(2人部屋しか空いていないと言われ、個室代が上乗せされた。病院都合の場合個室代は払わなくていいと当時知らなかった)入院生活がどれくらいになるのかわからず、仕事もキャンセルしており、貯金もほとんどないなかで、自分はこれからどうなってしまうのだろう、と恐ろしくてしかたがなかったのだ。
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