「光る君へ」目指したのは人間ドラマ 「吉高由里子は天才」 チーフ演出・中島由貴さん
平安時代に長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部の人生を描くNHK大河ドラマ「光る君へ」。主人公のまひろ(後の紫式部)を吉高由里子、まひろと強い絆で結ばれた藤原道長を柄本佑が演じている。女性文学者を主人公とした異例の「文学大河」が15日、最終回を迎える。チーフ演出の中島由貴さんに、制作の舞台裏や名場面の裏話を聞いた。 【画像】藤原道長の新たな肖像画が完成、出家後の晩年の姿 ■7年ぶりの女性主人公 大河ドラマでほとんど描かれて来なかった平安時代、それも7年ぶりの女性主人公となった「光る君へ」。制作統括は内田ゆきさん、音楽は冬野ユミさん、と制作陣にも女性が目立った。脚本は、恋愛ドラマの名手として知られる、大石静だ。 「紫式部を主人公にしようとなったとき、男性の作家を嫌がったわけじゃないんです。原作もないし、戦国時代とかに比べて圧倒的に参考になる資料がないんじゃないかと考えていました。完全にオリジナルを立ち上げられる人は、実力がないと無理だと考えたんです」と説明する。 大石は「功名が辻」に続き、大河は2作目となる。「大石さんもはじめは渋っていて、平安なんて8話も持たないとか言っていたんです。なんとか口説いて大石さんに決まりました」 「人は幸せでも泣くし、悲しくても泣くのよ」 道長とまひろが廃邸で初めて結ばれたときのまひろのせりふだ。言葉の奥にある本音や矛盾した思い。生々しい人間模様が視聴者を引き付けてきた。 「大石さんも人間ドラマとして書いてくださってるんです。大河なので、史実と向き合わなくちゃいけないんですが、この番組は特にオリジナル性が強くなるので、年表ドラマのようにするのはやめましょうというのは話しましたね。人間ドラマとしてどう作るのかを意識しているから、台本に人のめんどくさいところを入れているんです。だからスッキリしない。でもスッキリしなくていいんです」 ■視聴者にドキドキを 恋愛感情で結ばれていたまひろと道長の関係の転機となったのが、源氏物語誕生直前のシーンだ。 道長はまひろに、一条天皇と中宮・彰子を結びつけるための物語の執筆を依頼した。為時邸を訪れた道長から、まひろは、物語のヒントをつかもうと、一条天皇の幼いころのこと、道長の家族のことを聞く。「関係性が変わる前段、男女の関係から、まひろに作家スイッチが入るという流れでシーンを作りました」と明かす。