血統で見抜く新馬の力! レイデオロ産駒レッドベルダンスは芝ダ両方に対応可、ヴィンブルレーは持続力が強み
7/20(土)福島5R・芝2000m レッドベルダンス
この記事では、今週の新馬戦に出走予定の馬を血統の観点から紹介していく。 今回注目したいのは東京サラブレッドクラブの期待馬レッドベルダンス。母ダンシングラグズはアメリカ産馬で現役時にアルシバイアディーズステークス(GⅠ・ダート8.5F)を勝利。半姉のルージュシュエット(父Curlin)は母を輸入した際に受胎していた馬で、日本で種付けされた馬としては本馬が最初の一頭だ。半姉はダート1800mで勝ち上がっていて父と母のダート適性を受け継いでいる。 【中京記念2024 推奨馬】1800mは勝率55.5%、複勝率88.8%で超得意! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 本馬のファミリーは長くアメリカで広がりを見せたが、サンライズラポール(JRAオープン馬)やナイキマドリード(2010年JBCスプリント2着)なども同じ一族で、すでに日本での実績は十分だ。母自身の血統構成やファミリーの戦績からも基本的にはダートに適性が出ることが多いが、本馬の場合はレイデオロの柔らかさが存分に出ていて芝でも戦えるだけのスピードを持っていそう。最終追い切りでは美浦Wでラスト2Fを12.5-11.3の加速ラップでまとめていて瞬発力もありそうだ。 3代母Jewel PrincessはBCディスタフ(GⅠ・ダート9F)などGⅠを4勝した名牝。アメリカで広がっていたファミリーとしては珍しく成長力があるのが最大の特徴だ。そして小回り適性も兼ね備えている。 将来的にはダートに路線変更する可能性もあるが、2歳の現時点では筋肉の柔らかさも十分で、福島芝2000mは適舞台。初戦から勝ち負けして順調にいけば、暮れのホープフルSも見据えられる。 <血統から想定できる潜在能力> ・馬場適性 早期は芝、後々ダートも対応可能 ・距離適性 1800~2400m/ベスト2000m ・能力 スピードB 瞬発力A パワーS 持久力A ・同タイプ レッドジェネシス ・特徴 成長力◎ 操縦性高い ※持久力とは・・・スピードの持続力
7/21(日)福島6R・芝1200m ヴィンブルレー
日曜日で注目したいのが福島6Rに登場するキャロットクラブのヴィンブルレー。入厩当初の追い切りから古馬を煽る動きを見せるなど、調教でかなり良い動きをしている。追い切り本数も十分でデビュー戦に向けて態勢は整ったと見ていいだろう。 日本での牝祖は5代母ミートミーレイター。ミートミーレイターは重賞勝ちこそないものの北米で8勝。繁殖として輸入されてからは、本馬の4代母ヨシオカザン(1200m以下のレースで芝、ダート問わず6勝)やミヨノパールを輩出した。ミヨノパールは孫にミヨノスピード、ミヨノゴールドがいて、どちらも札幌3歳Sを制した。 ヨシオカザンのファミリーはダイナカザン、ホットタバスコ、そして本馬の3代母ラテルネの3頭の牝馬からファミリーが続く。このなかで最も活力を見せたのはラテルネの分岐だ。ラテルネはクリスマスローズS(2歳OP・芝6F)勝ち馬のラテアート(父サクラバクシンオー)、京王杯2歳S3着のカラメルアート(父トウカイテイオー)、芝8~9Fで5勝しOP入りを果たしたトップオブツヨシ(父タヤスツヨシ)、そして本馬の祖母で芝8~9Fを4勝したマルティンスターク(父シンボリクリスエス)など複数の活躍馬を輩出した。 持続力があるのが特徴で、短距離を主戦場とするタイプが多い。ウィークポイントはパワー不足になりがちなところだ。母グリューヴァインは現役時ダート短距離で3勝。このファミリーらしく持続性能の高さが持ち味だった。そこにナダルを迎えた本馬は牝系のかねてからの課題だったパワー不足を補うことができ、馬体もガッチリした筋肉質な形をしている。とはいえ強みは持続力だから平坦な福島コースは初戦としては適舞台と言っていいだろう。舞台も整っているだけに負けられない。 <血統から想定できる潜在能力> ・馬場適性 芝 ・距離適性 1000~1400m/ベスト1200m ・能力 スピードA 瞬発力C パワーB 持久力S ・同タイプ レシステンシア ・特徴 持続力◎ 小回りコース◎ ※持久力とは・・・スピードの持続力 【ライタープロフィール】 貴シンジ 競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。WEBサイト『ウマフリ』で「牝系図鑑」も連載中。競馬予想のほか「競馬王」など商業誌での執筆、一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統分析、血統の魅力の伝承、繁殖牝馬の配合提案などを独自の切り口から行う。
貴シンジ