5球団スカウト評価…木製バットで京都独自ブロック大会”優勝”の龍谷大平安・奥村真大がプロ1本宣言…兄はヤクルトのあの人
「金属バットの方が打球が飛ぶのは当然。仲間から木製を使うことに反対はされなかったけれど、なんでなん、という雰囲気は伝わって来た。なので結果を残さないといけないと必死でした」 金属バットを手放したのにはもちろん理由がある。新型コロナウイルスの影響で練習自粛となり、滋賀県の実家に戻っていた5月のゴールデンウイーク明け。部員の家庭を巡回していた原田英彦監督(60)と一対一で面談し、その際に「プロへ行きたいです」とストレートに告げた。考え抜いた末の結論。 木製バットを振り続け、6月から通常練習が再開した後も金属バットを手にすることはなかった。 プロへの道を意識したのは当然、ヤクルトでプレーする7歳上の兄・展征の影響が大きい。日大山形高時代に甲子園で本塁打を打った兄だけでなく、父も甲西高の主軸として甲子園で本塁打を打った。元衆議院議員の祖父も監督として甲子園出場経験があるという“甲子園一家“である。新型コロナウイルスの影響で夏の甲子園が中止になった5月には、兄から励ましの電話をもらったこともプロへの思いを強くしたという。 明石商のドラフト候補、来田涼斗外野手にも大きな刺激を受けている。昨年のセンバツで連絡先を交換、来田から聞いた”食トレ”を実行。新型コロナ禍をプラスに転じるかのように休校期間だった3カ月間で10キロの増量に成功したという。 「自分で考える時間が増えて、プロを考えるようになりました。兄を見ていても厳しいことは分かっていますが、トライしたい。体重に関しては特別なことはしていません。とにかく、食べて食べて。その甲斐がありました」 もちろん、平凡な中飛に倒れた残り2打席の反省も忘れない。 「練習不足は明らかですから、これからもっともっと鍛えていかないといけない」 途中、落雷を警戒しての中断もあり、最後はナイトゲームになったこの日の試合には阪神、オリックス、西武、ヤクルトなど5球団のスカウトが視察した。 ヤクルトの阿部健太スカウトは「うちにいるお兄さんは左の好打者タイプ。こっちは右の長距離砲で例えると荒木(貴裕)のようなイメージですよね。肩は兄同様に強いし、足もそこまでは速くないけれど、走塁センスはありそう。木製バットを使いこなすのは簡単ではないが、次のステージを意識して取り組んでおり、この日も何とかコンタクトしてヒットにしていた」と評価した。 またオリックス初の女性スカウトである乾絵美氏は、「チーム全体を見渡してプレーできている印象を受けた。最後の試合で気合が入る中、しっかりと打つあたりはさすが。体も大きいし、トータルで評価できる選手。右の大型内野手はどの球団も欲しいでしょうね」と絶賛した。