アスリートがケガをしたらSNSはNG?――プロサッカー選手 川澄奈穂美がSNSの反応に感じたこと
2011年に行われたFIFA女子ワールドカップ・ドイツ大会。女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)の一員として出場した川澄奈穂美は、準決勝で挙げた2ゴールなどの活躍で日本サッカー界史上初となる世界一に輝いた。あれから11年。川澄は現在もアメリカ・ニュージャージー州を本拠地とするNJ/NYゴッサムFCでプレーを続けている。 現役の女性アスリートとして、プレーはもちろん、ブログやTwitterなどSNSも積極的に活用する。昨年はNWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)で起こったセクハラ問題や、自身が行ったヘアドネーションについても発信。そんな川澄に、異国の地でプレーを続けて感じた日米の違い、さらには「女性アスリート」としての生き方を聞いた。(ラブすぽ/Yahoo!ニュース Voice)
アスリートとして、社会課題にも言及する理由
昨年秋、アメリカのサッカー女子プロリーグ NWSLに衝撃が走った――。リーグに所属するチームの監督が、ある選手に性行為を強要するなどのセクハラ行為を行った疑いが浮上。しかも、この問題が発覚したのは6年以上前の2014~2015年で、リーグはこの問題を把握しながら表沙汰にすることなく、なんの解決もされぬまま半ば“放置”していた状況だった。 これに対し、選手たちは抗議の意思を表明。問題発覚後の試合で、真実が明かされなかった6年間にちなみ、開始6分後に選手たちがピッチの中心で円陣を組み、抗議と選手たちの連帯をアピールした。同リーグに所属する川澄は、この円陣の動画を自身のTwitterで発信。国内外でも大きな注目を集めた。 ――川澄選手は現役のアスリートにもかかわらず、ブログやTwitterでかなり積極的に発信をされている印象です。 川澄奈穂美: 2009年にブログをはじめてから、いろいろな発信をしているんですけど、当初は私自身のことを知ってもらうためだったり、女子サッカーを少しでも多くの人に知ってもらいたいという思いが強かったです。ただ、長く続けていく中で自分自身の考えや、サッカーとは直接関係ないことを発信しても別にいいのかな、と思うように気持ちも変化していきました。ヘアドネーションの件は、別に載せる必要もないし、みんなに薦めたいというわけでもないけど、「こういう活動があるんだよ」ということを少しでも知ってもらえるなら、私が書く意味もあるのかなと。 セクハラ問題についてもそうです。私自身は今までそういう経験をしたことがないんですけど、女性アスリートにとっては大きな問題だし、それを伝えることで、「あぁ、今もまだこういう問題が社会に残っているんだな」ということを知ってもらえればいい。どんなことも、まずは「知ってもらう」ことがスタートじゃないですか。