「往生際が悪くても辞めるわけにはいかない」由規選手が2度の戦力外通告でも野球を続ける理由
自身も、ファンも、この男の“復活”を待ちわびている――。 昨年オフ、東北楽天ゴールデンイーグルスから戦力外通告を受け、今季はBCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズに所属する由規投手。故障に苦しみ、何度も一軍マウンドに返り咲いた豪腕投手は、今も「NPB復帰」を目指し、新天地で「ニュースタイル」を模索し続けている。(ラブすぽ/Yahoo!ニュースVoice編集部)
――昨季まで13年間プレーしたNPBで、自身の「ターニングポイント」になった試合は? 由規選手: 2010年の交流戦で東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大さんに投げ勝った試合です。あの試合をきっかけに、勝ち星も増えて自信にもつながりました。
真っすぐのサインしか出なかった
由規選手が語る「ターニングゲーム」は2010年6月13日にKスタ宮城(現・楽天生命パーク)で行われた東北楽天ゴールデンイーグルス対東京ヤクルトスワローズの一戦。この年、ヤクルトでプロ3年目を迎えていた由規選手は開幕から一軍の先発投手として登板を重ねていたが、敗戦が続いて二軍落ちを経験。この交流戦期間中に一軍復帰を果たしていた。
由規選手: 試合前にキャッチャーの相川(亮二/現・読売ジャイアンツコーチ)さんから「いけるところまで真っすぐでいくぞ」と言われたんです。それで試合が始まったら本当に真っすぐのサインしか出なかった。さすがに「全球真っすぐ」とは思っていなかったので、本当に大丈夫かな……と半信半疑のまま投げていたんですけど、結果的に4回に初めてヒットを打たれるまで全部真っすぐで抑えることができた。 この試合は3対1で勝ったんですけど、故郷の宮城県での登板、田中将大さんに勝てたこと、そして真っすぐの感覚をつかめたこともあって、すごく印象深いです。 それまでは負けが続いていて、二軍落ちも経験しましたけど、そこから勝ちがついてきてプロで初めて二桁勝利(このシーズンは12勝)を挙げることもできました。