50代「年収500万円の夫」に絶望を叩きつけた…ゴミ箱のレシートで発覚した「美容師の妻」の衝撃の秘密
「50歳を超えてこんな思いをするなんて」
「正直、息苦しいですよ、家庭でそんな演技を続けているのも。娘たちも、もしかしたら気づいているかもしれませんしね。でも、ひとまずこの暮らしを続けるしかないと思っているんです。でもね……毎朝、会社に行くために家でスーツを着て、出かけるでしょう? 駅までの道からもう憂鬱なんです。 仕事中は、同僚や部下たちがいるから、なんとかメンタルが保たれてる感じかな。仕事が終わってからの帰り道。駅近くの雑踏などでは、気が狂いそうになるんです。叫びたくなる。ばかやろうって……そして、みんなにガシガシぶつかってどんどん突き進んでいきたくなる。多分、世の中のぶつかりおじさんは、みんなこんな気持ちなんじゃないかな?」 そもそも、大きな野望を持っていたわけじゃない。ただ、ささやかに、ちいさなしあわせを感じながら生きていたかっただけなのに……まさか、50歳を超えてから、こんな思いをするなんて……。やりきれない思いで、今日も祐太さんは、スーツを着て、会社に向かうのだろう。 祐太さんの毎日の暮らしの中に、ほんのすこしでいいから、「自分はしあわせだなあ」と思える瞬間があればいいのだが、今はおそらく、さまざまな思いが頭の中でぐるぐるしていて難しいかもしれない。だけど、少し時間がたったら、違う角度から自分の毎日を見てみてほしい。 どこかに必ず、しあわせを感じる瞬間はあるはずなのだ。道に咲く花を見たとき、部下が笑顔で話しかけてくれたとき、居酒屋さんの鍋がほっこり美味しく感じるとき……。そんなしあわせを少しでも感じられたら、すこしずつ元気になれると思う。そして、人生を楽しむことを、あきらめないでほしいなと思う。 * …つづく、安藤房子氏の連載<50代「ハラスメント」を恐れて何も話せなくなった男性の切実な本音>はこちらからお読みいただけます。
安藤 房子(作家・恋愛心理研究所所長)