ノーベル賞「化学賞」2018年は誰の手に? 日本科学未来館が予想
2018年ノーベル賞の化学賞は10月3日夜に発表されます。日本科学未来館では毎年、その年の自然科学系3賞を受賞するにふさわしいと思う研究テーマ・研究者について紹介しています。 【写真】10月1日からノーベル賞発表 日本人の受賞は? 日本科学未来館が予想 化学賞は受賞テーマを予想するのが最も難しい賞だと言われています。難しいと言われる所以は以下のポイントにあります。(1)幅広い受賞対象、(2)規則性がない、(3)“これからの”人類への貢献を“期待”する研究分野も受賞の可能性――。 化学といっても、有機化学や無機化学のみならず、生化学や物理化学といった他の学問分野寄りのテーマも受賞しており、幅広い研究分野が対象となっています。また、物理学賞の「宇宙(2015年)→物性(2016年)→宇宙(2017年)」のような規則性もありません。さらに、2016年受賞の「分子マシンの設計と合成」のように、まだ世の中にはほとんど出てきてはいないが、ポイント(3)のように、これからの人類への貢献を期待して受賞したような例もあります。 というわけで、予想が難しい化学賞ではありますが、その分、幅広い分野から研究を探し出し、その素晴らしさをみなさんと分かち合うことができる機会だと捉えています。今回は、それぞれ異なるバックグラウンドを持った科学コミュニケーターたちが、独自の視点から選んだ3テーマをご紹介します。
■DNAオリガミ技術を利用したDNAナノテクノロジー分野の創成
「DNA」。「オリガミ」。単語としては2つともなじみのある言葉ですが、その2つが合わさった「DNAオリガミ」という言葉については聞いたことがないぞ、という方も多いかもしれません。 DNAとは、私たちの体の特徴を決めるために存在している「生命の設計図」です。具体的には、DNAは身体の中で働くタンパク質の情報源として機能しています。このように、DNAの情報はタンパク質へと伝えられる、と1958年に唱えたのが「DNAの二重らせん構造の発見」でノーベル生理学・医学賞を受賞している英国の科学者フランシス・クリックでした。 クリックが提唱して以来、私たちが持ち続けてきた「DNA=生命の設計図」という概念。それを「DNA=折り紙のようにいろんな形を作れる化学の素材」に変えてしまったのが、今回紹介する2人の研究者なのです。