立川談志の名言「酒が人をダメにするんじゃない…」→酒をネットに置き換えても説得力がエグかった!
ところが、この捨象と抽象は友人に対してだけでなく、裏切り者に対しても適用されます。 1度は心から信頼した相手だけに憤りは強く、裏切り者のネガティブな要素ばかりがグループ内でどんどん蓄積されていき、以前とは正反対の集合体が構築されてしまいます。 総体を知らないからこそ、苦手な部分を見ずに済んでいたのが一転、今度はその反対に、あるはずのよい部分が一切見えないがために極悪人として抽象化されやすいのです。かつては互いに信頼しあっていたため、個人情報を共有してしまったというケースもあるでしょう。 不幸中の幸いだったのが、Bさんは大まかな居住地は伝えていたものの、個人を特定できる情報は最後まで伏せていたことです。ネッ友からリア友に発展する1歩手前であったため、トラブルはネット上のみで済みました。 同コミュニティの男子高校生のなかには、顔写真・本名・高校名を伝え、Bさんと個チャ(個人チャットの略で、1対1でメッセージのやりとりをすること)をしていた生徒もおり、しかもBさんの個人情報を盛んに求めていたようなので危ないところでした。 ● 「ネッ友に会う=危険な行為」と 子どもへ押し付けられない理由 一方、私たち大人から見ても、それほど違和感のないSNSを利用したリア友の作り方もあります。インスタを通じ近隣の中高生たちとリア友になるというパターンもまた、その1例だと言えます。
SNS上で相互フォロー(ゲームで言えばフレンドになること)し、ネット上で親密になってネッ友となり、実際に会うことでリア友に発展するという流れは同じです。 しかし、近隣の中学・高校に通っているため、大抵の場合において共通の友人・知人がいるという点で異なります。相手が本当に中高生であることも確かめられますし、ある程度は素性を知ることもできます。 実際に会う段階で大きなトラブルを起こせばリアルな交友関係にも影響を与えるため、トラブルが起きることは考えにくいでしょう。そもそも共通の友人・知人がいる時点で、ネッ友に該当するかどうか微妙でもあります。 「ネット友と実際に会う=危険な行為」と単純化して子どもに接すれば反発を招くのみならず、実際にはリスクの低い行為に対してまでも不当な規制を加えることにもなりかねません。それどころか、こうした行為は息苦しい学校の外に居場所を確保することにも繋がるため、プラスの効果が期待できます。 最後に「界隈」について補足します。本来はネットスラングだった「界隈」は適用範囲が広がっていき、現在では、たとえば生徒マキさんのクラスの友人グループを「マキちゃんの界隈」と表現することもあります。 こうなると、普通の「グループ」とほぼ意味が同じです。ネットスラングだったはずが、いつの間にか若者たちの流行語に発展し、その意味内容が変容したのでしょう。
物江 潤