J682試合、W杯開幕戦を担当した西村雄一審判員がトップリーグ勇退。最も印象に残っている試合は?「人生でたった一度しかありません」
「私が担当した中でひとつ特別な試合」
今季限りでトップリーグ担当審判員を勇退し、JFA審判マネジャーに就任する西村雄一氏が12月19日、記者会見に出席した。 【画像】セルジオ越後、小野伸二、大久保嘉人、中村憲剛ら28名が厳選した「J歴代ベスト11」を一挙公開! 現在52歳の西村氏は、Jリーグで682試合を担当したほか、2014年に行なわれたブラジル・ワールドカップの開幕戦など、数々の大舞台でも笛を吹いた。実績と経験が豊富な日本を代表するレフェリーだ。 西村氏は今後について、「トップカテゴリーからは外れますが、それ以外のところで審判活動は続けてまいります。グラスルーツを含めて色んな試合もできますから、皆さんと楽しくサッカーをできたらいいなと思っています」と説明した。 具体的には、地域サッカー協会主催の試合を担当する2級審判員として、活動を続けていくという。「公式戦をやるかは分からないですけど。体力維持はちゃんとしなきゃいけない」 と柔和な笑みを浮かべながら伝えた。 最も印象に残っている試合として挙げたのは、2011年3月29日に大阪で行なわれた復興支援チャリティマッチだ。「私が担当した中でひとつ特別な試合」「一番忘れられない」と表現し、その理由を力を込めて次のように語った。 「日本のサッカーファンの皆様が心をひとつに、また前に進もうと、そんなふうに思った試合です。私は日本人ですので、日本代表の試合は担当できないんですけど、あの時は日本代表対Jリーグ選抜でしたので、本当に真剣な代表選手たちのプレーを体感できました。 その時に三浦知良選手がゴールを決めているんですけれども、全ての人が喜ぶゴール...通常であれば、どうしても点を取られてしまった方の感情が出てくるんですけど、あのゴールだけは本当に誰もが喜んだゴールでした。その瞬間は僕の人生の中でたった一度しかありません。あのゴールの瞬間をピッチ上で味わえたことは、本当に忘れられません」 様々な思いを胸に、新たな挑戦を始める西村氏のプロフィール、経歴は以下の通り。 【プロフィール】 西村雄一(にしむらゆういち) 生年月日:1972年4月17日 出身県:東京都 1999年 1級登録 2004年~2014年 国際審判員 2004年~ プロフェッショナルレフェリー 【担当した試合数】 Jリーグ 682試合(1999年~2024年) J1リーグ 主審407試合 副審15試合 J2リーグ 主審161試合 副審14試合 J3リーグ 主審3試合 リーグカップ 主審79試合 副審3試合 天皇杯 50試合 主審46試合 副審4試合 【担当した主な国内試合】 2013年 第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会 決勝(主審) 2015年 明治安田生命2015 Jリーグチャンピオンシップ 決勝 第2戦(主審) 2017年 JリーグYBCルヴァンカップ 決勝(主審) 2024年 J1リーグ通算400試合(第24節G大阪vs湘南@パナスタ) 【担当した主な国際試合】 2007年 FIFA U-17ワールドカップ 韓国 決勝戦(主審) 2009年 FIFA U-20ワールドカップ エジプト 3/4位決定戦(主審) 2010年 FIFAワールドカップ 南アフリカ 決勝戦(第4審判) 2010年 AFCチャンピオンズリーグ ファイナル(主審) 2010年 FIFAクラブワールドカップ UAE 決勝戦(主審) 2011年 AFCアジアカップ カタール 開幕戦(主審) 2012年 第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン) 2013年 FIFAコンフェデレーションズカップ ブラジル 3/4位決定戦(第4審判) 2014年 FIFAワールドカップ ブラジル 開幕戦(主審)、3/4位決定戦(第4審判) 2014年 AFCチャンピオンズリーグ ファイナル(主審) 【受賞歴】 2012年 AFC Referee of the Year(Men) 2016年 文部科学大臣 スポーツ功労者 顕彰(スポーツ審判員) 2009年~2017年・2019年・2020年 Jリーグ最優秀主審賞(計11回) 取材・文●有園僚真(サッカーダイジェストWeb編集部)