宮里藍、渋野日向子、古江彩佳も届かなかった…23歳西郷真央が米女子ゴルフ“新人賞”を受賞「34年ぶり…日本人からなぜ受賞者が出なかった?」
いくつも処方箋を用意する
西郷は関係者にスマホで自身のスイングを撮影してもらい、何が良くて何が悪かったかを分析する。この習慣は中学3年の頃から続けており、西郷のスマホには膨大な動画が保存されている。その成功体験はアメリカでも役立った。 「どの選手よりも撮る回数は多いと思います。撮ってもらったスイングを確認して、自分の感触と実際の映像が一致しているかというのを毎日すり合わせる。(アメリカの)スマホは無音で撮れるので、試合中も動画を撮れるというのは強み。このショット、この動きしてたから、こういうショットになっちゃったんだなとか」 同時に、気づいたことをメモすることも忘れない。 「たとえば、今日(スイングに)この癖が出てたから、こういう動きを入れたら中和されてよくなったとか。それが次の日、この動きをしたら、あんまり良くなかったとか。実際、試合で(スイングが)悪くなったときに、『あ、これを試そう』とか『これだったら使えるかも』と実践に使えるメモを残しています」 つまり、西郷は自分への処方箋をいくつも持ち合わせているのだ。 「色んなパターンを持っておくのは大事。やっぱり常に自分のしたい動きができるわけじゃないので、調子が悪いときに、『これじゃない、あれじゃない』と一つずつ試すことで、早く修正できると思います」 積み上げてきた“処方箋”が、過酷な米ツアーでも1年目から活躍できた要因だった。 「(連戦が続いても)マオはスイングが安定している」とは、新人賞レースで2位だったイムの言葉。西郷の修正力の高さはライバルたちも認めるところだ。 そんな西郷が理想とするスイングがある。米ツアー参戦8年目のスウェーデン人、マデレーネ・サグストロムのスイングだ。 「力んでるパワーの使い方じゃなくて、動きの良さとそれに効率よくスピードが乗って、実際にボールが飛んでるっていう選手だなと。海外選手のスイング動画を見るのは好きなんですけど、一番よく見る選手です。(試合で)同じ組になったときもスイングを見たりして、勉強させていただいてます」 今季の最終戦、筆者がサグストロムにそのことを伝えたところ手放しで喜んだ。 「えー! マオがそんなこと言ってくれるなんて嬉しい! マオから『I like your swing』って言われたことはあったけど、まさかそんなふうに思ってくれていたとは…。次に試合でマオと同組になったら、私のスイングに似ているか、じっくり見てみようかな(笑)」 この笑みが西郷へのリスペクトを感じさせる。 「マオの印象ですか? とてもクレバーな選手。ジムに行くたびトレーニングに励んでいるのを見かけるんですよ。どうしたら米ツアーで生き残れるか、やるべきことに黙々と取り組んでいると思う」
ご褒美は「愛犬とだらだら」
ツアー最終戦、最終9番ホールの第2打。西郷は残り154ヤードを8番アイアンでピンまで1メートルにつけると、バーディーパットを難なく決めた。 「今週一番良いアイアンショット。手応えと球筋がマッチした」 笑顔が弾けた。研究熱心でひたすらゴルフと向き合う。彼女らしい精確なショットで偉業達成の1年を締め括った。 新人賞獲得のご褒美は「特に考えていなかったですね。帰って愛犬と一緒にだらだらしたい」。歴史に名を残した日本人ルーキーは、束の間の休息を楽しむ。
(「ゴルフPRESS」南しずか = 文)
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