大人気の樹木葬墓、散骨には注意点が… 費用とメリット・デメリットが分かる「最新お墓ガイド」
散骨に求められるマナー
続いては、昭和の大スターである石原裕次郎さんが亡くなった時に話題になった「散骨」スタイルです。裕次郎さんの遺骨の一部は、生前、故人が愛した海にまかれました。他に山での散骨という選択肢もありますが、山の場合、地主の許可や近隣住民への配慮が必要であるため現実的ではなく、海洋散骨が大半を占めているのが現状です。 散骨を禁じる法律はないものの、各自治体が条例で散骨してはいけないエリアを指定していたり、ガイドラインを設けている場合があり、どこでも散骨していいわけではありません。加えて、散骨には「マナー」があることを覚えておいてください。 まず、遺骨は2ミリ以下のパウダー状に砕骨する、花と一緒にセロファンやリボンなどをまかない、漁場や海水浴場は避けるなど、環境や周囲への配慮が求められます。 また、例えば喪服姿で船着場から遺骨をまいたりすると、散骨していることが一目で分かり、それを見た方の中には不快感を覚える方がいるかもしれません。さらに、穏やかに見える海でも船に慣れていないと揺れが気になると思いますので、散骨の際はカジュアルな服装で乗船することをお勧めします。
個人での散骨はお勧めできない
「散骨」という言葉から、骨をまくだけでよく、個人で“手軽”にできるというイメージを持つ方もいることでしょう。しかし、砕骨をしたり、海洋に出るために船を出す必要があることを考えると、個人で散骨するのはお勧めできません。インターネットなどで調べて、専門業者に依頼するのがよいでしょう。 代理散骨を業者にお願いした場合の費用は、5万~15万円程度が相場です。肝心なことですが、一度まいた骨は二度と戻ってこないことを忘れないでください。実際には、全ての遺骨をまくのではなく、一部だけを散骨し、残りは別の形で弔う方も多く、「遺骨を全部散骨しておしまい」と決断できる人はまだそう多くはない印象です。 他には、「手元供養」という選択肢もあります。亡くなった人の遺骨を、残された方の自宅、つまり手元に安置しておく弔い方です。法律的には全く問題がありませんし、家に置く分には費用はかかりません。 メリットとして、いつでも遺骨に手を合わせられることが挙げられます。しかし、永遠に手元供養を続ける方はまずいません。 なぜなら、遺骨を納めることができるのは、法律で「墓地、納骨堂として認められた場所」であり、どこかのタイミングで「納める」行為を行わないと放置され続けてしまうからです。大切に思っているからこそ、タイミングを見計らってお墓に納めるか、散骨などで遺骨の行き場所を考える人が多いようです。やはり、手元供養は一時的な措置であり、いつかは何らかのお墓を選択することになるでしょう。