ボーイング、サプライヤー発注大半停止へ ストで大幅コスト削減
ボーイングは、最大の労働組合IAM(国際機械技術者協会)が現地時間9月13日から16年ぶりとなるストライキに突入したことを受け、737と767、777のサプライヤーへの発注の大半を停止する方針を固めた。日本のサプライヤーへの影響も懸念される。ブライアン・ウェストCFO(最高財務責任者)が従業員宛の電子メールで説明したもので、採用凍結や出張費用の削減、航空ショーの参加規模縮小など、大幅なコスト削減を進める。 ウェストCFOは「このストライキは当社の回復を著しく脅かすものであり、現金確保と将来の安全のために必要な措置を取らなければない」と、従業員宛のメールで16日に説明。ボーイング全体で新規採用を凍結し、役員や管理職の昇進に伴う昇給の一時停止、重要な出張以外はすべて中止、ファーストクラスとビジネスクラスの利用取りやめ、外部コンサルタントへの支出を一時停止、必要不可欠ではない請負業者の一時解雇、慈善活動や寄付、広告、マーケティング支出の一時停止、航空ショーなどイベントの参加規模縮小、顧客対応を除き自社施設でのケータリングや飲食サービスの停止など、多岐にわたる。 これらと並行してサプライヤーへの支出を大幅に削減。今後数週間以内には、多くの従業員や管理職、経営陣を対象に一時帰休の実施も検討する。 具体的な内容や指針は、今後数日以内に従業員に共有するとしている。 ボーイングは、737 MAXや787で相次いだ品質問題に対処するため、偶数年開催である2月のシンガポール航空ショー、7月にロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーは出展規模を大幅に縮小。民間機は開発中の大型機777Xなどの飛行試験機は持ち込まず、防衛部門を中心とした展示に絞っていた。今回の決定で、航空ショーへの出展はさらに縮小される可能性が高くなった。 民間航空機部門のステファニー・ポープ社長兼CEO(最高経営責任者)は、ファンボロー開幕前にロンドン市内で会見した際、737 MAXと787の生産レートを年内に戻す方針を示していたが、ストの影響で737 MAXは生産停止に陥っている。
Tadayuki YOSHIKAWA