「カフェすら座れない」「ディズニーも40代以上の利用者が急増」…。東京で静かに進む、お金のない若者の排除の実態と、都市に生まれている“驚きの光景”
【11月7日10時30分追記】初出時、記述に誤りがあったため修正しました。 特にHMVの階段前については「昼間は学生、夕方は待ち合わせ、深夜は酔っぱらい、と“ちょっとした場所”として機能している」とある。「ちょっと一休み」できる場所が2000年の渋谷の屋外にはあったのだ。 また、現在はリニューアルしたが、スクランブル交差点前にある渋谷TSUTAYAがあるQフロント横の階段でも「スターバックスの屋外座席? というほど、Qフロントの横の階段で飲食を取る若者が増えた」と書いてある。
24年前の記述だからかなり古いけれど、特にセンター街を中心に、路上のあちこちで若者がたむろをしていたのが渋谷の街なのだ。しかし現在、その辺りにたむろしている人はほとんどいない。それらはきゅっとMIYASHITA PARKに集まっている。そして、その集まる面積はずいぶんと小さくなった。若者がたむろできる場所が小さくなりつつある。 先ほども書いた通り、インバウンド観光客やオフィスワーカーの街になりつつある渋谷では当然のことかもしれない。
MIYASHITA PARKからわかるのは、どことなく街全体が若者に対する「排除」を強めているのではないか、ということだ。 もっとも、街や商業施設が若者を「排除しますよ」と公言しているわけではない。ただでさえ「多様性」の時代だ(ちなみに渋谷区は区全体として「多様性」を押し出している)。 ただ、確かに街のあらゆる施設は万人に開かれているが、それは「お金があれば」の話で、そうでなければ実質的に使えない。そして、特に若年層は経済的には苦しい状況にある。実質的に、若者世代が締め出しを食らっているといってもいい。
日本全体での税や社会保険などの国民負担率は増加の一途をたどっており、特に賃金が低い水準である10代後半~20代にとっては、経済的に非常に苦しい現状がある。ニッセイ基礎研究所の坂田紘野氏は、20代の実質賃金は上昇しているにもかかわらず、こうした国民負担率の増加によって、若年世代に経済不安があると指摘する。 また、第59回学生生活実態調査によれば、下宿生の仕送り額は1995年から2010年にかけて大幅に減少し、その後も低下傾向にある。それに、有名な話ではあるが、日本の子どもの相対的貧困率は7人に1人ともいわれており、OECD加盟国の中でも最悪の水準だといわれている。