「カフェすら座れない」「ディズニーも40代以上の利用者が急増」…。東京で静かに進む、お金のない若者の排除の実態と、都市に生まれている“驚きの光景”
そんな彼らが買い物などをしてちょっと疲れた……どこかで休もう、でも、カフェはどこも混んでいて座れない、といったときどこで休むのか。その答えの一つがMIYASHITA PARKである。 テレビ朝日のニュース番組「グッド! モーニング」で10月24日に放映された「渋谷に『ジベタリアン』再び 大規模開発で居場所なくなる 若者の街がビジネスの街へ」では、渋谷の若者たちが、MIYASHITA PARKに集まる姿が特集されている。
筆者はこの企画でインタビューを受けており、以前からMIYASHITA PARKに多くの若い人が集っていることに注目しつつ、フィールドワークを重ねてきた。 MIYASHITA PARKは「公園」の名の通り、無料で出入りができ、基本的にずっとそこにいることができる(ただ、23時までという制限はある)。ここに集う人々は、屋上公園に設置された芝生で寝っ転がって話したり、夜になるとそこかしこでTikTokの動画を撮っている。しかも興味深いことに、制服を着た高校生と思しき集団も多い。若者の中でも特に若い、10代から20代前半ぐらいの人々が多く集っているのだ。
「渋谷から若者がいなくなった」とよく語られるが、ここを見ると、まったくそう思えない。実際、「グッド! モーニング」の取材で、次のように20代の来園者が語っている。 「行く場所が特にないときとかに、とりあえず行ってみるみたいなのはあるかもしれない。無料休憩所みたいな」 座る場所が少なく、カフェも混んでいる……そんなときに、若者たちが向かうのがMIYASHITA PARKなのだ(ここでは触れないが、そもそもMIYASHITA PARK自体がホームレス排除の問題とあわせて『ジェントリフィケーション』の顕著な例として扱われてきたが、むしろ「若年層」に注目すると反対のことが起こっている)。
■若者がたむろする空間が減った渋谷 単にいまの若者がMIYASHITA PARKに集まっている、だけなのかもしれない。 しかし、かつてはもっと渋谷の全域に若者たちがたむろしていた。 私の手元にPARCOのシンクタンク「ACROSS」が2000年の渋谷を調査した『SHIBUYA 2000 REPORT』がある。これは2000年の渋谷で、どこにどのような人々が集まっていたのかをまとめていて、センター街周辺では「宇多川交番前」や「西武百貨店渋谷店A館」「HMV前(現・IKEA)」など若者がたむろしやすい場所がいくつかあると書いてある。