【漫画】「ワンオペ育児」で疲弊していた母親 他人からの「子育てを楽しんで」発言にイラッ 10年後に起きた“変化”とは?<作者インタビュー>
「いつしか私もそちら側の人間になっていたお話」が、Xで話題となっています。 2人の息子をほぼワンオペで育てていた母親。子育てで余裕がなかった当時は、「かわいいわね」「子育てを楽しんで」と周囲に言われても、素直に受け取ることができませんでした。しかし子どもたちが成長して手がかからなくなってくると、今度は…。子育て中の親や、子育てが一段落した親から、共感の声が上がっています。 【漫画】本編を読む
育児を楽しめるわけがないと感じていたが…
この漫画を描いたのはイラストレーターの桃田けみさんです。Xでは、エッセー漫画や仕事実績などを発信しています。桃田けみさんに、作品についてのお話を聞きました。 Q.漫画を描き始めたのは、いつごろからでしょうか。 桃田さん「イラストレーターとして活動を始めたのが2年前です。最初はアイコン作成などをしていたのですが、企業さまからもカットイラストのご依頼を頂くようになり、活動期間は短いながら、書籍のイラストや広報誌、福祉関係など、幅広くお仕事させていただいています。 エッセー漫画を描くようになったのは、ごく最近です。子どもの頃の夢は漫画家でしたが、大人になるにつれ、『人さまに読んでいただく漫画を描く』ということに高いハードルを感じ、非現実な夢だと諦めていました。 でもイラストの仕事をこなしていく中で、『エッセー漫画を描きたい』という気持ちは心のどこかにずっとあって…。育児漫画はよく見かけるけれど、子育てが一段落したママの漫画はあまり見ないな…と思い、チャレンジしてみました」 Q.桃田さん自身が子育てで大変だった当時、声を掛けてくれた人に対してどのように感じていたのでしょうか。 桃田さん「『はぁ!? 死ぬほど大変なのに楽しめるわけないじゃん! あなたたちも子育て中は大変だったでしょ? そんなことも忘れちゃったの?』と心の中で思っていました(笑)。 また、『なんで見知らぬ親子にこんなに話し掛けてくるんだろう』とも思っていました。あの頃は常に必死で、心の余裕を完全に失っていましたね…お恥ずかしい限りです。今は、声を掛けてくれたおばさまたちの気持ちがよーーーく分かります」 Q.今は「モブ」として、どのようなことをしていますか。 桃田さん「あくまでモブなので特に大きなアクションは起こしませんが、基本的に子育てファミリー、ママさん、お子さんを温かく見守る生活です。道を譲ったり、お子さんの動きに注意したり、ニコニコして『子育てを応援している社会』を演出したりしています。 そして何かあった際にはとっさに助けられるよう気を張っていますが、ありがたいことにこれまで特に何も起きず、平和に終わっています」 Q.「モブ」からの「一線」を越えるとしたら、どんなタイミングだと思いますか。 桃田さん「うちの子どもは大きくなったとはいえ、まだ学生。体は大きくなっても幼さやかわいらしさが残っています。そんな彼らが大人になって独り立ちし、物理的に距離ができてしまうと、とても寂しく感じてしまうと思います。あんなに早く大きくなってほしいと思っていたのに、勝手なものです。 そうなると、ますます小さかった頃の子どもたちへの気持ちが大きくなり、道で出会った小さなお子さんに声を掛けてしまうのかな…と思います。 でも実際はどうなんでしょうね、十年で私の心にも大きく変化があったように、これからもさらに変化があるのかもしれません」 Q.この漫画にどのようなコメントが寄せられましたか。 桃田さん「今まさに育児中のママからは、『いつか子どもは大きくなるんだなあ、今のうちにいっぱい抱きしめておこう』『毎日大変でつらいけど、見守ってくれている人が周りにたくさんいることを知った』などのコメントを頂きました。今を頑張るママさんの心に響いたならうれしいです。 また子育てが一段落した人たちからは、『一分一秒がつらいの、分かる。大変過ぎて余裕なんてなかった』『当時子どもにキツくあたってしまって、黒歴史』『子育て楽しんでねって、若いママについ言っちゃう』などのコメントを頂き、私だけじゃないんだ、と安心しました」
オトナンサー編集部