68年間の運転を終えた妻への想い
フルサイズのアメリカ車も苦にしなかった。2ドアハードトップのドアの大きさと重さに文句を言ったことはあるが、、。 前にも書いたが、運転したがらなかったのはデイムラー ダブルシックスのみ。 これもサイズの問題ではなく、デイムラーの放つ「威厳」というか、「格式」というか、、そんなものにある種の息苦しさを抱いたからではないかと思う。 家内がとくに好きだったのは、コンパクトで粋な感じのクルマ。、、となると、当然フランス車が上位にランクされる。 僕は、家内と付き合い始めたときは、まだ4輪車を持っていなかったが、持つ必要に迫られた。でも、真っ当なクルマを買うお金などない。 いろいろ考えた末に、ルノー4CVのタクシー上がり再生車を買うことに。「好きなボディカラーに塗りますよ」とのひと言が決め手になった。 ボディカラーは、オフホワイトと明るめのミルクチョコレートの2トーンにした。これはバッチリ決まった。
家内もすごく気に入ってくれたし、周りからも「いいね‼」の連発だった。街を走っても多くの人目を引いた。とても34万円のクルマには見えなかった(と思う)。 ルノー 4CVは、パワーがなく遅かったが、身のこなしは軽快で楽しめた。「外車に乗っている」満足感も味わえた。 僕の稼ぎが良くなるにつれて、クルマも、MGA、MGB、アルファロメオ ジュリアスーバー、、、とランクアップしていった。 そして、40歳代後半にはポルシェ911とデイムラー ダブルシックスの2台持ちができるまでになった。 家内ももちろん、そんなステップアップを喜んでくれた。でも、家内のコンパクト好き、とくにフランス車好きは変わらなかった。 僕の仕事上、取っ替え引っ替えといった形で多くのクルマを所有したので、わが家のガレージに収まったフランス車は4台しかない。 家内は4台とも好きだったはずだが、あえてランクをつけるならば、1位がルノー5 バカラ、2位がルノー ルーテシア、3位がプジョー e208、4位がルノー 4CVといったことになるだろうか。