68年間の運転を終えた妻への想い
その夜すぐ電話をしたが、彼女は快く応対してくれた。初めから長話をしてしまった。 こうして、家内との付き合いは始まったのだが、彼女はすぐ家族を紹介してくれた。みんな明るい人ばかりだった。とくに、母親が明るく、僕はすぐ好きになった。 彼女の兄はクルマ好きで、2CVも実は兄のクルマだった。その他に、シトロエン 11CVライトも所有していた。当時としては、まさに「とんでもないマニア!」だったのだ。 父親もまたクルマ好きで、ビュイックに乗っていた。そして、次は白と水色の2トーンのオールズモビルへ、その次はメルセデス220Sへと乗り換えた。 彼女と出会えた上に、明るくてクルマ好きな家族ともすぐ仲良くなった。これ以上ないハッピーな出会いに恵まれたということだ。 僕の親はクルマにはまったく無関心だったが、兄はクルマ好きだった。だが、家内の兄とは違い、高級で目立つクルマにしか目を向けなかった。 ある程度お金に余裕ができたとき、まず買ったのは初代セドリック(1960年)。次はプレジデント、それ以降はメルセデスSクラス(SLも含む)にしか手を出さなかった。
なので、僕は、実兄のクルマには、ほとんど乗ったことがない。乗るにしても、たまに、横に乗るくらいだった。 われわれは22歳で結婚したが、僕の稼ぎが少なかった時でも、僕がほしいというクルマを買うことに、彼女が反対することはまずなかった。そして、家族も応援してくれた。 彼女は運転も好きで、どんなクルマでも喜んで運転した。運転しにくいとか、文句を言われたことは、ほんとうに一度もない。 操作系のややこしいようなクルマでも、すぐ理解し、すぐ馴染んだ。 仕事で乗るクルマでも、忙しい時など彼女に受け取りや返却をしてもらうこともあった。もちろん、相手の了承を得てのことだが。 だから、そうとうな台数と種類のクルマを運転したということにもなる。 僕が初めて買ったポルシェ、、1987年型の930はクラッチが重く、ミートポイントが狭く、下手な半クラッチ操作を多用したりすると、すぐクラッチが壊れた。そんなクルマも難なく運転した。