68年間の運転を終えた妻への想い
でも、いちばん好きだった5バカラが、「故障頻発+サービスの酷さ」で、早期に手放さなければならなかったのは可哀想だった。 ちなみに、特別仕様のミニ クーパーS ハイゲイト(コンバーチブル)とミニ クーパー ベイズウォーターのコンビネーションもすごく気に入っていた。 とにかく、クルマが大好きだった家内だが、去る6月、84歳の誕生日で、運転を終える決意をした。まだまだ運転できると思ったが、家内の決断を尊重した。 19歳で知り合って以来65年間、クルマと3人3脚といった生活をしてきただけに、寂しかったが仕方がない。 ちなみに、僕は2年後に免許証が切れる。そこが引き際と考えてはいるが、もし、運転支援装置が大きく進化したら、、その時は、改めて考えようと思っている。 でも、家内と過ごした65年間、多くのクルマと共に生活を楽しみ、世界を旅し、クルマを介して様々な人々に出会った。クルマは、われわれに大きな幸せを運んできてくれた。
僕が後どのくらい運転できるかはわからない。でも、家内と共にクルマのある生活をできるだけ長く楽しみたいと願っている。 そのためには、身体の健康をも含めた、安全運転への取り組みと意識の持ち方を、日々しっかり積み重ねていく、、、それが、なにより大切なことと考えている。 ちなみに、絵は、1963年、箱根でMGBを運転する家内です。
● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト
1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。
文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽