「要介護認定取りました」認知症の母、ダウン症の姉と暮らすにしおかすみこがカリスマ介護士に相談したいこと
認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父と暮らすにしおかすみこさんと、「元気がでる介護研究所」代表で、介護のカリスマとして人気の高口光子さん。にしおかさんの『ポンコツ一家2年目』刊行を記念し、ふたりのトークイベントが11月14日、ジュンク堂書店池袋本店で開かれた。 【写真】「あたしだよ~っ」にしおかすみこさん、SM女王様スタイルの一発屋時代 にしおかさんは12月2日放送の「あさイチ」の特集「介護危機!どうなる私たちの老後」にも出演、ヘルパーさんの人材不足、さまざまな介護施設など介護の現状もレポート。SNSでも多くの共感の声が寄せられていた。 ”にしおかすみこさんの心からの叫びに共感” ”にしおかすみこさんの叫びがリアル。 この声を国はしっかり聞いて欲しい。” ”にしおかさんの話は うなずくことばかりです” では、「当事者」にしおかさんの言葉に、高口さんはどう答えたのか。なかなか深刻なテーマではあるが、にしおかさんがしゃべり倒し、介護のカリスマ・高口さんが要所で解説するという、勉強になって元気の出る90分となった。お母さんの要介護認定は?施設には入居しないの?……ジャーナリストのなかのかおりさんが、そこで話題になった「介護の今」から抜粋してレポートする。 前編では、にしおかさんがついにお母さんの要介護認定を取った経緯と、高口さんによるサービス選択のアドバイスをお伝えする。 以下、なかのかおりさんがトークイベントをもとに寄稿。
超高齢社会、気になる『ポンコツ一家』
内閣府の令和6年版高齢社会白書によると、今の日本は高齢化率は 29.1%の超高齢社会だ。人口1億2435 万人のうち、65 歳以上人口は3623万人。さらに75歳以上人口は16.1%にのぼる。2070年には、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上になるという。介護や高齢者の暮らしについて、考える必要がある。 筆者は介護保険制度スタート時に現場を取材し、ヘルパーの資格を取得した。コロナ禍には父を見送ったことから、人生の後半戦を考えるようになった。年上の知人がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)に引越したと聞き、老後の住まいや費用についても関心がある。にしおかさんと同世代でもあり、『ポンコツ一家』はどうしているかな?と気になってしまう。 にしおかさんが4年前に実家に戻ったのが始まりだ。「母が認知症で、姉がダウン症で、父が酔っ払いで、私が一発屋」という家族構成で、コロナ禍に仕事がなくなり家賃も払えなくなって、実家に様子を見に行ったら、ゴミ屋敷だったーー。ボロボロの座椅子に母がポツンと座って、何かあると「死んでやる」という母に驚き、にしおかさんは心配で実家に戻った。 2020年、認知症のことも、要介護認定もよくわからなかったというにしおかさん。友人や先輩に、早めに動いた方がいいとアドバイスされるも、母はなかなか動かなかった。にしおかさんは、最初にアクセスする「地域包括支援センター」のものものしい名称に押されたという。 介護のカリスマ・高口光子さんは、省略して「包括」と呼ぶといい、解説した。 「私たちが日常的に使っている言葉が、一般の方には重く響く。相談に来る人は、この状況でこれに困っているから、どうにかしてくださいなんて具体的に言えない。にしおかさんも、何を相談していいのか、何に困っているのかわからなかった。こういう人を支えなきゃいけないんだなって、プロとして思いましたね。 本当の自立っていうのは、私はこれが困っています、助けてくださいって言える人です。介護の最初は、その自立の手前で苦しんでるわけですよ。そういう人のために地域包括支援センターはあるんだなって、改めて勉強になりました」