マイナ保険証へ「一本化」は“医療の質の低下”と“税金の無駄遣い”を招く? 専門家が警鐘…“現場”で続発する「不都合な事態」とは
市区町村の労務負担が「税金の無駄遣い」に?
世田谷区 保坂区長はさらに、政府内で現行のマイナンバーカードが2026年度をめどに廃止され、次のカードに移行される予定があることへの憂慮を示した。 デジタル庁は現行のマイナンバーカードに代わる「次期個人番号カード」を2026年度をめどに導入することを検討している。デジタル庁が公表した「タスクフォース最終とりまとめ」では、カードの体裁や名称変更も記載されている。 保坂区長(東京都世田谷区):「国は、現行の健康保険証が新規発行停止となる今年の12月2日から、マイナンバーカードを速やかに発行する体制を整えるよう要求しているが、これには膨大な事務負担が発生する。 また、マイナンバーカードの電子証明書の5年の有効期限が切れればマイナ保険証は利用できなくなるが、その点に対する周知が進んでおらず、問い合わせ等の増加が考えられる。 それに加え、2年後に、現行のマイナンバーカードを新しいカードに全部取り替えるという大変な計画が、市区町村に何の相談もなく進んでいる。 世田谷区で約7割の住民にマイナンバーカードを発行するのも大変な事務量だった。それを新しいカードに取り替えていくのには時間がかかる。必然的に新旧2つのカードが併存することになる。混乱がさらに拡大するのではないか」 実際に「タスクフォース最終とりまとめ」を読むと、現行のマイナンバーカードの電子証明書の更新について、「市町村窓口や郵便局での更新体制の整備を推進」「その他市町村の窓口負担の軽減方策について更に検討」と記載するにとどまっている。保坂区長が憂慮するような、自治体の負担が過大になる事態へのフォローについては特に言及されていない。 マイナ保険証への一本化も、次期個人番号カードへの移行も、市区町村に大きな負担をかけることは間違いない。 当然、そこには国民が支払った税金が投入されることになる。市区町村の無駄な手間を増やす事態は避けなければならないだろう。