なんでも上手くこなせるのに「器用貧乏」に陥ってしまう人の決定的な原因
器用なのに報われず、自分のことは後回しで頼まれ事を何でも引き受けているうちに、精神的なストレスや不満を抱え込んでしまう「器用貧乏さん」。どういう人に多いのか、どうすれば脱出できるのか、通算1500回以上の講座やセミナーを開催してきたメンタルコーチの龍夏さんが解説します。 【図表】疲れたと感じたときに「心の状態」を知る3項目 ※本稿は、龍夏著『何をやっても中途半端…な 「器用貧乏さん」から脱出する本』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
そもそも「器用貧乏」の原因とは?
「龍夏さん、聞いてください!同期が昇格したんです。わたしは社内で便利屋として重宝されているだけで、ずっと現状維持のままなのに」 「またやりたくない仕事を押し付けられました。みんなには『そんなの断ればいい』って言われるけど、そんなことしたらダメですよね」 「あれもこれもと手を出すのですが、すぐに続かなくなってしまうんです」 そんなお悩みを話される方のほとんどが、「わたしって、器用貧乏なんです」とおっしゃいます。そのときの表情は決まって元気がありません。言い慣れているのか、自虐的に苦笑いしながらおっしゃる方も多いです。誰もがマイナスの意味で使っているのが「器用貧乏」という言葉です。 ズバリお伝えします。器用貧乏が悩みになる原因は「自分にとって何が大事なのか」、すなわち自分軸が明確になっていないからです。反対に言えば、自分軸を見つけることで、公私共に「何をやっても中途半端」な器用貧乏さんから脱出できます。 軸という漢字は「回転する車のよりどころとなる部分」という意味からできていて、物事の中心にあり支えになるもののことをいいます。もしも自動車の車輪に軸がなかったら、車輪は四方にバラバラに動いてしまい走ることができません。ヘリコプターやドローンも、軸がなければ翼が回転できないので飛ばすことができません。何かを動かそう、先に進もうとするときに軸がないと、持つべき機能を果たせないため目的を満たすことができず、致命的な状態になります。 これはわたしたち人間も同じです。自分軸とは、自分という存在を支える柱のようなもの。自分軸がなければ自分にとって何が大切なのか、自分の人生をどう生きるのか、という判断を他人の価値観に委ねなければならず、いつまでたっても人の言いなりや世間に流されて生きるという状態になってしまいます。だから誰もが見つける必要があるのです。