地球に迫るメガトン級破壊力の小惑星「アポフィス」の正体 4年後の最接近で衝突の確率は?
これを含め、同年は少なくとも4回、小惑星が地球に衝突している。発見から衝突まで2時間未満の小惑星もあった。 衝突による被害を減らすには、「事前に小惑星を発見して軌道をつかむこと」が重要だという。 「小惑星の軌道が判明していれば、予測した衝突地点から住民を避難させることができる。小惑星に人工衛星を高速で衝突させ、軌道を変える技術の実証実験も行われています」 これまでに確認された小惑星は約142万個もある。そのうち、約1150個は美星スペースガードセンターで発見されたものだ。 「アポフィスと同程度の大きさの小惑星であれば、現在、約50%の確率で見つけることができます」 観測上の課題は、「昼間に星は見えない」こと。つまり、太陽の方向から接近する小惑星は地上の望遠鏡では見つけることはできない。昼夜問わず観測できる人工衛星による監視網が必要だという。 ■世界の防災に役立つ 小惑星などの衝突から地球を守ることを、「プラネタリーディフェンス」という。 欧米各国は政府機関がプラネタリーディフェンスに取り組んでいるが、日本では残念ながらJAXAから委託された日本スペースガードセンター協会が主に観測を行っているだけだという。 「小惑星衝突は避けがたい自然災害です。社会課題として取り組むことが望ましい」 12月19日、石破首相は防災推進国民会議で、「日本を世界一の防災大国にしたい。世界に防災意識、防災技術を広める国になりたい」と語った。 アポフィスは29年の後も、36年、68年に接近する。NASAは「今後、100年間は衝突の危険性はない」というが、その後はわからない。地球規模の危機に、日本も「防災庁」で本格的に取り組むのはどうだろうか。 (AERA dot.編集部・米倉昭仁)
米倉昭仁