「泣いている場合じゃないぞ」全日本駅伝、駒澤大が涙の16位→2位の超人的な大まくり…5連覇失敗は「敗北」か「収穫」か? “箱根ではやり返す”
想定外から猛烈な巻き返し
反撃の口火を切ったのは、3区の伊藤蒼唯(3年)だった。 16位からのスタートだったが、8キロ手前で9位まで順位を押し上げるという猛烈な巻きを見せた。 「走る前からいろんな順位を想定していましたし、自分の設定タイムがあり、走るからには区間賞を獲りたいという気持ちもあったので、とにかく最初から突っ込んでいきました。5キロまでよく動いていましたし、いい感じで入れたのでそのまま行きました」 トラックシーズンでは思うように走れなかったが、夏合宿で篠原と一緒に練習をするようになり、ベースが上がった。出雲駅伝では伊藤自身としてはもう一つだったというが、そのレースが刺激になり、「今回うまくハマってくれた」という走りで最終的にシード圏内の8位まで順位を戻したのだ。 駒澤大にとっては、ここからが勝負だった。
ポイントは初駅伝の選手たち
「今回のレースは、4区、5区、6区に初めて駅伝を走る選手を置いていますが、ここでしっかり走ることができるかどうかが、優勝する上で最大のポイントになります」 決戦前夜、藤田監督は、そう述べていた。 順位は想定外だったが、伊藤の好走が後続の選手の気持ちを奮い立たせた。4区の谷中晴(1年)は、区間3位でチームをさらに5位に押し上げた。出雲駅伝と同日の記録会で13分49秒を出し、藤田監督に「次(全日本)は使う」と断言させた1年生が、デビュー戦で素晴らしい走りを見せた。 つづく5区の村上響(2年)も区間5位の走りで駅伝デビューを飾り、順位をキープ。トップの青学大との差は、2分32秒となった。 6区の安原海晴(2年)も兄・太陽が前回大会で区間賞を獲ったのと同じ区間で3位と好走し、見事な駅伝デビュー。5位をキープして7区の篠原に襷を渡した。 「この3区間は、みんな立派に役割を果たしてくれました。2区で流れに乗るどころか、大きなビハインドの位置から上げていかないといけないという状況でしたが、その厳しいなかでみんな区間3番から5番内でまとめてくれた。これは、非常に大きな収穫でした」(藤田監督)
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